縁側でちょっと一杯 in 別府

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コンピュータの将棋や囲碁の実力は?

2016-10-25 23:29:46 | 最近思うこと
 日曜日にEテレのNHK杯将棋トーナメントで今話題の三浦九段の対局が放送されていた。あの将棋ソフト不正使用疑惑の三浦九段である。対戦相手は橋本八段。疑惑が表面化する前の収録らしい。僕は途中から見たが、急戦で展開が早く、なかなか面白い将棋だった。
 三浦九段が対局中に将棋ソフトを不正に利用していたのか、現状、その真偽の程は定かではない。状況証拠から絶対にクロだという声もあるが、本人は否定しており、かつ確たる証拠があるわけでもない。本件どう決着するかはわからないが、勝負の世界の話であり、僕は白黒をはっきりつけた方が良いと思う。そうでなければ日々研究、精進している棋士の方々に対し失礼であろう。

 ところで、こうした疑惑、囲碁の世界では今のところ考えられない。いや、将棋の世界でも十年くらい前まではまったく考えられなかった。理由は簡単、人間の方がコンピュータより断然強かったからである。

 チェスの世界では20世紀終わりにコンピュータが人間を追い越した。が、将棋はチェスより複雑であり、当時はコンピュータが人間に勝てるはずなどないと考えられていた。
 チェスと将棋を比較すると、マス目の数はチェス 64に対し将棋 81、駒の種類と数は、同じく 6種類32個に対し 8種類(+成駒 7)40個と、いずれも将棋の方が多い。さらに両者の差を決定的にしているのは、将棋では取った駒を自由に使えることである。チェスでは盤上に残っている駒しか使えない。この駒の再利用の可否により、次の1手の可能性に雲泥の差が生じている。

 しかし、この十年で将棋ソフトは格段の進歩を遂げた。これはコンピュータの計算能力向上もあるが、ソフト面の進歩の方がはるかに大きいという。
 将棋ソフトは、プロ棋士の棋譜(将棋の指し手を順に記録したもの)を徹底的に学習した。棋譜を丸暗記するのではない。それでは全てが同じ場面でしか役に立たない。将棋ソフトは指し手の持つ意味を学習したのである。つまり、ある局面においてプロにより指された手は、他の選ばれなかった手よりも優れている手だと学習し、自らの判断基準、評価関数を修正して行ったのである。これを膨大に繰り返した。繰り返しはコンピュータの得意とするところであり、生身の人間では到底太刀打ちできない。かくしてコンピュータは成長を重ね、将棋でも人間の上を行ったのであった。

 一方、囲碁では、コンピュータの実力はアマチュアの有段者レベルだという。まだプロ棋士の足元にも及ばない。囲碁は将棋よりも複雑で、大局観の判断、数値化がなかなか上手く行かないようだ。が、これはあくまで今現在の話。コンピュータがプロのトップ棋士を凌駕する日もそう遠くないであろう。
 もしコンピュータが囲碁のような複雑なゲームで大局的な判断ができるようになれば、いっそのこと政治を、たとえば地方議会の代わりに意思決定を任せてはどうだろう。コンピュータは、それこそ“ゲーム理論”により、効用を最大にする選択をしてくれるだろうし、少なくともカラ出張や白紙の領収書などは無くなると思うが。


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