縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

利己主義が中国の環境問題の原因か?

2006-03-21 23:30:00 | 環境を考える
 学生時代、中国史の授業を取っていた。先生は客家が専門のようであったが、フリーメーソンからマクロエンジニアリングまで、まったく中国と関係のない話も多かった。大学の先生って、好き勝手やって結構いい商売だな、と思ったりもした。
 しかし、先生の話はおもしろく、経済学部の私は半ば趣味で授業に出ていた。百人近い学生が受講していたと思うが、実際に授業に出る者は少ない。多くて10人、下手をすると4、5人というのもざらで、そんなとき先生は皆を近くの喫茶店に連れて行き、そこで授業、というか話をした。のどかな時代である。

 そんな喫茶店の授業の中で、今でもはっきり覚えている先生との会話がある。

「中国人はとても利己主義な民族です。例えば、昼間万里の長城を作っている人間が、夜になって誰もいなくなると、昼間作った長城を壊して煉瓦をはずし、それで自分の家を作る。皆、そんなことを平気でやっていたのです。」
「そんな利己主義な中国人と共産主義は相容れないように思うのですが・・・・」と、僕。まだ、ベルリンの壁があって、ロシアがまだソ連だった頃の話である。
「あれは無理だね。国民性にまったく会っていない。いずれ崩れるだろう。」

 20年以上経った今でも中国の共産主義は一応続いている。そして中国人の利己主義は変わっていない。中国の環境問題を見ているとそう思わざるを得ない。

「国土の1/3が酸性雨を浴びる」、「主要水系の2/5は使用に耐えない」、「3億人以上の農民が安全な水を飲めない」、「4億人以上の都市住民が汚染した空気を吸っている」といった記事が、最近中国の雑誌に出たそうである。又、化学工場爆発によりアムール川が汚染される恐れとか、広東省でカドミウムによる河川汚染発覚、といったニュースなども記憶に新しい。

 中国の環境問題については次回で詳しく見て行くことにするが、今回はまずその対策について考えることにしたい。

 中国の環境問題が深刻なことは皆さんご存知のことと思うが、中には「中国は成長重視で環境を軽視してきたから、環境規制がないか、あっても極めて緩いのだろう」と言う方がいらっしゃるかもしれない。とんでもない。中国には立派な、厳しい環境規制が存在する。ただ、ほとんどの企業や個人が守っていないだけである。
 自分さえ良ければそれでいいのであろう。罰則があっても企業と地方との力関係で強制できない、ひどい場合は賄賂で済ませる、といったことが今でもまかり通っているようだ。

 翻って日本はどうか。かつては公害がひどかったが、今では公害対策や省資源の先進国である。私は、この両国の違いが、日本人は利己主義ではなく社会全体のことを考えているからだとか、日本人は道徳的に中国人より優れているからだとかは、まったく思わない。純粋に経済的な理由だと思う。つまり、何か問題を起こしたときの補償や信用問題等のコストと、公害対策のコストを比較すれば、前者の方が高いというだけである。

 よって中国に前者のコストを高くすることを望む。第一に規制の実効性を高めること。有名無実の法律では誰も従わない。地方の力に限界があるのなら、中央による取り締まりをもっと強化すべきだろう。第二に情報公開である。今の中国では事故や問題が発生しても、それが力のある企業であればなおさら、情報が外に出ない。先のアムール川のケースもロシアの指摘があって、漸く中国は認めたのである。事故の内容やその影響を内外にきちんと知らしめて欲しい。一方、かつて日本がやったように企業の公害対策に対し補助金や税制面の優遇を与えることで後者のコストを下げる方法もある。
 中国政府は、公害対策を行わない企業、あるいは非効率な生産で公害の原因となっている企業を市場から退出させるとともに、それに伴う社会的コストについて覚悟すべきである。断固たる対応を期待したい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。