ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

海外からのお客様

2006-03-28 | 腹腔鏡
昨年末、海外在住の方(日本人で子宮内膜症患者)が来られた。過去に子宮内膜症の治療歴があるためにその国では健康保険が効かず、手術を受けるのに何と約200万円かかってしまうそうだ!日本なら自費で手術したとしても請求額はせいぜい60-70万円である。しかも日本の健康保険は過去の治療歴云々などを問うことは決してないので健康保険は適用され自己負担額は20-25万円くらいになっただろうと思う。

ということで帰国され、当院に来られた。腹腔鏡下手術で骨盤内の子宮内膜症病巣切除、子宮腺筋症核出、直腸半層切除などを行った。子宮内膜症保存手術のフルコースともいえる手術であった。

術後、患者さんから聞いたのだが、その国では医師が足りないのか国公立病院、とくに救急の部門では待ち時間が非常に長いそうだ。その方も急性腹症(チョコの破裂?)で救急を受診したそうだが4時間待たされたそうだ。そのくらいならまだいいほうで、待っている間に亡くなってしまう方もいたそうだ・・・

公立病院では医療費は安いらしいが、医師の質には疑問があるようで、しかも腹腔鏡や子宮内膜症の専門医はいない。プライベート(開業医)にかかればいいのだが、医療費は非常に高くなる。

日本の患者は幸せだと思う。しかも誰も非常に安い料金で良質の医療を受けていることを知らない。残念ながら、近いうちにそのような医療体制は崩れていくかもしれない。国が医療費を抑制していく方向で政策をすすめているのだから仕方がないと思う。

私の手術が60-70万で、海外の医師の手術が200万円、手術料自体はもっと差があるのかもしれない。手術料が高くても勤務医の給料が増えるわけではないが、こういう話を聞くと術者としてのプライドはぼろぼろなのである。

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