1.まえがき
下図のようなラダー回路の合成抵抗値を求める問題がある。ノードが無限にあるとし
たときの合成抵抗Rはどのノードから見ても抵抗値が同じという論理から
R=Ra+Rb+1/(1/Rc+1/R) すなわち R=( Ra+Rb+√{(Ra+Rb)²+4Rc(Ra+Rb)} )/2
から求められる。計算しても、物理的な意味からも Ra+Rb≦R≦Ra+Rb+Rc とわかる。
ここで、Ra,Rb,Rc≧0、Ra+Rb+Rc>0 とする。これを数列により厳密に求めてみよう。
2.厳密解
計算の前に、RaとRbを1つの抵抗としても、計算は変わらないので、以下では Rb=0
とする。n番目のノードで切断した時、左方向の合成抵抗値をRnとする。初期値を
R1=Ra+Rc
とすると
Rn+1=Ra+RcRn/(Rc+Rn)
となる。RaとRbが同時に0でないとする(同時に0なら、Rn=0というつまらない場合に
なる)。 帰納法と上式により、R1>0 だから Rn>0となる。つぎに
R2-R1=Ra+RcR1/(Rc+R1)-(Ra+Rc)=-Rc²/(Rc+R1)≦0
Rn+1-Rn=RcRn/(Rc+Rn)-RcRn-1/(Rc+Rn-1)
=Rc²(Rn-Rn-1)/{ (Rn+Rc(Rn-1+Rc)}
だから、帰納法により
Rn+1-Rn≦0
を得る。すなわち、数列 Rn>0は単調減少数列で下に有界だから、収束する。したがっ
て Rn→R, Rn+1→R として漸化式に代入することができ
R=Ra+RcR/(Rc+R)
すなわち
R=( Ra+√(Ra²+4RcRa) )/2
を得る。R<0となる解は除いてある。
3.初期値による検討
簡易型の議論では数列の初期値があいまいである。上の計算でも初期値 R1により、数
列は単調増加か単調減少になる。
数列の初期値R1によって、単調増加となる場合、Rnは発散すると思ったが、この場合
も収束した。まず、数列 Rnが単調増加か減少かの条件は、
R2-R1=Ra+RcR1/(Rc+R1)-R1=Ra-R1²/(Rc+R1)
であるから R2-R1≦0 であるためには、上式の右辺を計算すると、初期値R1は
R1≧( Ra+√(Ra²+4RcRa) )/2
となることが必要である。すなわち、このときRnは単調減少数列となる。反対に、
R1≦( Ra+√(Ra²+4RcRa) )/2
のとき、Rnは単調増加数列となる。ところが、このとき、
Rn+1=Ra+1/( (1/Rc)+(1/Rn) )≦Ra+1/(1/Rc)= Ra+Rc
すなわち、Rnは上に有界である。ゆえに、Rnは収束する。
以上
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