特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

無限ラダー回路の抵抗値の厳密解法

2019-03-04 20:31:22 | 電気一般

1.まえがき

 下図のようなラダー回路の合成抵抗値を求める問題がある。ノードが無限にあるとし
 たときの合成抵抗Rはどのノードから見ても抵抗値が同じという論理から
     R=Ra+Rb+1/(1/Rc+1/R) すなわち R=( Ra+Rb+√{(Ra+Rb)²+4Rc(Ra+Rb)} )/2
 から求められる。計算しても、物理的な意味からも Ra+Rb≦R≦Ra+Rb+Rc とわかる。

 ここで、Ra,Rb,Rc≧0、Ra+Rb+Rc>0 とする。これを数列により厳密に求めてみよう。


2.厳密解

 計算の前に、RaとRbを1つの抵抗としても、計算は変わらないので、以下では Rb=0
 と
する。n番目のノードで切断した時、左方向の合成抵抗値をRnとする。初期値を
    R1=Ra+Rc 
 とすると
    Rn+1=Ra+RcRn/(Rc+Rn)
 となる。RaとRbが同時に0でないとする(同時に0なら、Rn=0というつまらない場合に
 なる)。 帰納法と上式により、R1>0 だから Rn>0となる。つぎに
    R2-R1=Ra+RcR1/(Rc+R1)-(Ra+Rc)=-Rc²/(Rc+R1)≦0
    Rn+1-Rn=RcRn/(Rc+Rn)-RcRn-1/(Rc+Rn-1)
         =Rc²(Rn-Rn-1)/{ (Rn+Rc(Rn-1+Rc)}
 だから、帰納法により
    Rn+1-Rn≦0
 を得る。すなわち、数列 Rn>0は単調減少数列で下に有界だから、収束する。したがっ
 て Rn→R, Rn+1→R として漸化式に代入することができ
    R=Ra+RcR/(Rc+R)
 すなわち
    R=( Ra+√(Ra²+4RcRa) )/2
 を得る。R<0となる解は除いてある。

3.初期値による検討

 簡易型の議論では数列の初期値があいまいである。上の計算でも初期値 R1により、数
 列は単調増加か単調減少になる。

 数列の初期値R1によって、単調増加となる場合、Rnは発散すると思ったが、この場合
 も収束した。まず、数列 Rnが単調増加か減少かの条件は、
    R2-R1=Ra+RcR1/(Rc+R1)-R1=Ra-R1²/(Rc+R1)
 であるから R2-R1≦0 であるためには、上式の右辺を計算すると、初期値R1
    R1≧( Ra+√(Ra²+4RcRa) )/2
 となることが必要である。すなわち、このときRnは単調減少数列となる。反対に、
    R1≦( Ra+√(Ra²+4RcRa) )/2
 のとき、Rnは単調増加数列となる。ところが、このとき、
    Rn+1=Ra+1/( (1/Rc)+(1/Rn) )≦Ra+1/(1/Rc)= Ra+Rc

 すなわち、Rnは上に有界である。ゆえに、Rnは収束する。

以上



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