Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

早春スケッチブック

2004年02月25日 | old diary
 毎週水曜日は地元の映画館がメンズ・デイで1000円の日。そうなるとせっかくなんで、水曜日に合わせて映画を観ることが多くなる。ところが今日行ってみると、観たいと思っていた映画が昨日で終わっていた。うー、せこい男のみみっちぃ結末。反省しよう…。

 友人から『早春スケッチブック』という山田太一の古いドラマのDVDを借りたので観た。1983年のドラマで舞台は横浜。その頃に中学生だった僕には、馴染みのある風景であり時代である。死期の近い元カメラマン役の山崎努が、いちいち心にひっかかるようなセリフを吐く。それらの言葉には深みがあり、人を立ち止まらせ考えさせる力がある。しかし、同時にそれらは、現実味のない空虚なものであったりもする。

 夢や理想を実生活に落とし込むことは、どんな場合でも難しい。僕らはいろんな場面でいろんな選択を迫られる。ときには、ひとつの選択がものすごく大きな意味をもつような錯覚をしてしまう。しかし、そんなことは時間がたってみないとわからない。わからないのにそう決めつけてしまう。大きな流れでみたとき、僕らが歩んできた道は案外シンプルなものかもしれない。諦めたのか、そうじゃないのか。めげたのか、そうじゃないのか。戦ったのか、そうじゃないのか。勝った負けたはしょうがない。それは結果でしかない。しかし、結果を怖れるような生き方をしてしまう。そんな自分を恥ずかしいと思う。情けないと思う。でもそんなことを繰り返すうちに、だんだん感じなくなる。鈍くなっていく。ありきたりの人生を生きるようになる。

 では、ありきたりの人生が悪いのかといえば、そんなこともない。自分のできる範囲を知り、納得をし、時間を積み重ねていくことは、それだけで大きな意味がある。そのためなら夢を諦めてもいいのではないか?戦わず逃げることがそんなに卑怯なのか?毎日を生きて行くために少しくらい自分をごまかしたっていいのではないか?結果を怖れ安全に生きてきたおかげで得られたものに胸をはってなにが悪いのか。

 どっちがどうと言うんじゃない。ただ、そんなことを考えながら観たドラマだった。