D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Between The Lines('75)/ Janis Ian

2008-04-06 00:57:02 | vocalist
邦題“愛の回想録”

その昔、私が中学生になってすぐ始めたギターはアコースティックタイプのモノでした。
いわゆるフォークソングを題材によく知らない名前のフォークシンガーの曲を覚えていったものです。
当然全て日本のアーティストばかりで、今から思えばなんであんな暗い歌ばかり練習してたのか不思議です。
・・みんなで一緒に歌ったりしてたし。(笑)
その頃録ったカセットに数曲の洋楽モノが残ってまして、その一曲がJanis Ian(ジャニス・イアン)の“17才の頃”でした。
おそらくラジオからエアチェックしたものだと思いますが、経緯が全く不明なんです。
Simon&Garfunkelなんかも一緒に残ってるところを見れば、多分アコギの妙技が物珍しかったためじゃないかなと思います。

少し前、タワレコ巡回中に見つけたのが、本日のこれ“Between The Lines”。
ジャニス・イアンが'75年に発表した彼女の7作目にあたるようで、翌年のグラミー賞も受賞した作品だそうですね。
くだんの“17才の頃”を聴きたいがために入手したのですが、これはほんとに素晴らしい作品です。

personnel:
Janis Ian(vo,pf,aco-g)
Richard Davis(aco-b)
Don Payne(e-b)
Sal De Troia(aco-g)
Dickie Frank(aco-g)
David Snider(aco-g)
Al Gorgoni(aco-g)
Barry Lazrowitz(d,per)
Larry Alexander(per)
George Devens(per)
and others(all acoustic performances)

キーパーソンとしてリチャード・デイヴィスが挙げられるようで、彼女のたっての希望で参加を仰いだとのこと。
彼は、バーンスタインやマイルスをはじめ、アメリカのモダンミュージックを担った重鎮ベーシストの一人です。
あと、ドン・ペインもジョビンやジルベルト、はたまたシムズ等との共演をNYベースに展開していた大物ベーシスト・・て、位の事しか知りません。
肝心のギタリスト諸氏などは全く持って存じあげません。(汗)

tracks:
1.When The Party's Over“パーティが終わったら”
2.At Seventeen“17才の頃”
3.From Me To You“置き手紙”
4.Bright Lights And Promises“約束事”
5.In The Winter“冬の部屋”
6.Watercolors“思い出の水彩画”
7.Between The Lines“愛の回想録”
8.The Come On“一晩だけの恋人”
9.Light A Light“灯りを下さい”
10.Tea And Sympathy“お茶と同情”
11.Lover's Lullaby“愛する人の子守唄”

世に永く残る作品というのはこういうものか、ということがよく分かる音創りですね。
一曲一曲非常に時間をかけ丁寧に創り込んでいるのが明白なナンバーばかりです。
すべての曲で一切手を抜いてません・・ほんとに凄い。
そして、時代もあるとは思いますが、ベースの一部を除いてすべてアコースティックのサウンドで固められています。

ギターも全てアコギで演奏されており、アンサンブル的な骨格面が非常にカッチリとなされた中でセッション的ハーモニーがバランス良く纏まってます。
17才の頃”のギターも、今よく聴いてみるとテンションノートは比較的単純ながら複数本で違う音を弾いてたり、ハーモニクスをあっちこっちから被せたりとか、いわゆる即興アレンジの妙みたいなものを強く感じますね。
この辺は、ちょっとバンド的な手法で面白いと思います。

そして、当然シンセなんて使ってません。
ちょっとしたディテールにストリングスアレンジが施されてたり、ホーンのコーラスが入ってきたりと、良く根気が続いたものですね。
そしてほとんどの楽器が複数で厚みをつけたりと、ジャズのフルバンドとクラシックオーケストレーションの技を上手く融合させてるような感じがします。

なにより、歌が一番素晴らしいですね。
内省的な詩の世界が共感を呼んだのがヒットの原因・・というのが定説のようです。
個人的にはこの辺にちょっと疑問を感じますがネ。
詩の内容もさることながら、歌自体がほんとに素敵なんです。
美しいメロディと、優しくも力強いヴォーカルが胸をうちます。
ジャニスのヴォーカルはノーギミックで真正面から迫ってくるような迫力が感じられます。
ある意味、Carpentersの歌を聴く時と同じような印象を得るのが興味深いですね。
全ての曲に優劣をつけることも憚れる程なんです。

まさに“本物”の歌がここにあります。
偶然ながら素晴らしい作品に出会えてラッキーでした。
これは、ほんとに凄い作品だと思います。


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4 コメント

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tommyちゃん (elmar35)
2008-04-13 17:10:41
コメントありがとうございます。

ほお、愛聴盤でしたか。
ジョリーンというとオリヴィアかな?
一緒ですね・・私も昔は良く聴いてたものです。

リンクの件、ありがとうございます。
なかなか切り出せなくてすみませんでした。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。(笑)
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Unknown (tommyちゃん)
2008-04-12 19:03:21
このLP家にあるわ!!
昔、良く聴いてた。

ジョリーンと一緒に!(^O^)/

ブックマークしていただけてたんですね…。
今気づきました。
こちらも、リンク貼らせていただきました。

今後ともよろしくお願いします。
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evergreen様 (elmar35)
2008-04-10 00:42:07
コメントありがとうございます。
そうそう、ノーギミックの直球勝負ですよね、まさに。
ほんとに素敵な曲ばかりだと思います。

上質な手作り感がある歌って絶対強いと思います。
こんなタイプの音楽が最近少なくなったのは、多分創れる人が居なくなってきたからなんじゃないでしょうか。
ある意味絶滅危惧種なのかもしれません。
そういう意味では、ベテランもまだまだ世の中には必要な存在だと、つくづく思います。

・・最後に愛は勝つ・・みたいな。(笑)
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いや~納得です (evergreen)
2008-04-09 10:13:44
もうこの時代の曲は
どこか影があって、今聴くと
何落ち込んでるの?って思うんですが・・・
カーペンターズ、S&G、古くはママス&パパス、・・・みーんな暗いですね!
でもそんな時代だった・・・

そして真剣で・・・ノーギミックな演奏で・・・

たまにはこういうのが必要な時って
絶対にありますから・・・

だから昔のカセットは捨てられないんですよ。
凄い曲ばっかしですもんね!

17歳の頃は特に私も好きな曲です。YOU TUBEのアコギいいですね!語るような歌いも素晴らしいです!もっと若い人に聴いて欲しいですね!
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