ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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イチローという選手

2006-03-16 23:28:46 | スポーツ
イチローという選手に対する印象はあまり良くなかった。野球選手としての完膚なきまでのスマートなプレーと文句ない実績。
10年に一度出るかどうかの大器であることには違いない。
ただあの孤高のたたずまいにはどうにも違和感があった。感情を押し殺し、知的でクールでマスコミにもほとんど口を開かないイチロー。
同じ大リーガーとしてはマスコミの取材にも律儀に応じる松井秀喜のほうが印象は数段良かった。

しかし、ここ最近のイチローを見ていて、少しずつその印象が変わってきたように思う。
松井が日本代表入りを拒んだのに対して意外にも(少なくとも私には意外に感じられた)代表入りを決めた頃から、
イチローの表情には多彩な変化が現れてきた。
特にオリックスのキャンプに参加した頃からは次第に饒舌にもなり、取材にも積極的に応じている姿を幾度となく見ることになる。

キャンプで一緒になった清原にもイチローは野球への熱い思いを語って意気投合したようだし、
日本代表というものにある種の矜持を持って向きあっているように感じた。
ことによるとそれは、彼がリスペクトしてやまない王監督の下で野球できることと無縁ではないのかもしれない。
そして、彼はしばしば日本球界の将来についての憂いを語るようにもなっていたという。

実はイチローは案外熱い男なのだ。何かを意気に感じられる男なのだ。
それは今日の韓国戦に負けた後に彼が本当に悔しそうに吼えたことからも伺える。
聞けばイチローはちばあきおの野球漫画「キャプテン」の大ファンなのだそうだ。
それも熱いキャプテン、イガラシに最も惹かれているのだとか。
不可解な判定で米国に負けた後、イチローは選手を集めて食事会を開いて結束を誓ったのだという。
イチローのキャプテンシー、それはふがいないマリナーズで安打記録に挑んでいたころの孤高の姿とは対極にある。

フォア・ザ・チームに徹しているイチロー。
今や感情を押し殺すことなく自分を鼓舞している彼を見て、彼が日の丸をつけてプレーする姿をどうしてももう一度見たくなった。


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