ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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J1第33節 FC東京対浦和レッズ(調布・味の素スタジアム)0-0

2006-11-27 22:39:07 | サッカー
しかし驚いた。いつものようにキックオフの2時間ほど前に自転車でスタジアムへと向かった。
いつもの交差点を渡ろうとしたら赤い集団がスタジアムへと続く歩道をぐるりと取り囲んでいる。
見たこともない光景に思わず「なんじゃこりゃ!?」とつぶやいてしまった。
恐るべし浦和。しかしそれもさもありなんだろう。
この試合に勝てば最終節を待たずして文句なしの優勝。J2落ちという苦難を乗り越えての悲願の初優勝となれば
その瞬間を一目見ようとこれだけ集まるのもうなずける。ましてやあの浦和のサポーターである。
味スタは完全にアウェイの浦和レッズに乗っ取られた格好となった。

我々にしてみればホームでの胴上げは何としても阻止しなければならない。
しかし仮に浦和に勝ったとしてもガンバが負けるか引き分けてしまえばやはり目の前で胴上げされてしまう。
そんなことにでもなれば、引退を表明している三浦文丈の引退挨拶も、
監督選手たちの感謝のセレモニーも優勝騒ぎにかき消されてしまう。
他力本願もあるが、優勝は阻止しなければ、聖地を死守しなければという悲壮感が、ま、多少はあった。

彼我の力の差は歴然としている。安定した守備力と決定力を持ったストライカーを擁して
年間を通して安定した力を発揮した浦和と、失点の多さと決定力不足で勝てる試合をたびたび落としてきた東京。
毎試合5万を超えるサポーターを集める動員力に対して5万のキャパに半分を集めるのがやっとの東京。
ピッチの中も外も圧倒的に向こうのほうが力がある。

そんな相手を真に受けてがっぷり四つに組んでも仕方ないじゃないか。
向こうが優勝をかけて鬼気迫る形相で迫ってきても、我々には失うものは何もないのだし
肩の力を抜いてもっと純粋にサッカーを楽しんだほうがいいじゃないか。
そんな気持ちにさせられたのは、ゴール裏コールリーダーたちの楽しいコールによってだった。
振りつきで歌った「スタジアムへ行こう」でホームスタンドの雰囲気は一挙に和やかなものになった。

所詮は優勝も降格もないけれども、ここまできたら存分に楽しんで、
そんな楽しい雰囲気の中でフミタケを送ってあげよう。
一生懸命サポートはするけど東京らしくこの注目の一番を戦おう。
それで負けて浦和の優勝を見ることになってもそれはそれで仕方がない。来年への糧にしよう。

東京のキーパーは何とこの大一番にリーグ初先発の塩田。
土肥のリーグ戦連続出場記録をストップさせての初先発だが、地道に努力して自らの力で勝ち取った先発の座。
塩田はフミタケのユニフォームを下に着込んでいるのをサポーターに披露してくれた。
NHKが総合テレビで全国中継。解説は両チームで指揮を取った原博実氏。
緊張と弛緩のなかでキックオフ。

序盤からのびのびと攻めていったのは東京。自慢の右サイドを石川が跳ねるようにドリブルしていく。
浦和はいつもの鋭さを欠いている。優勝への大一番でさすがに硬くなっているのか。
何となくサポーターの雰囲気そのままに硬い浦和とのびのびと自分たちの持ち味を発揮する東京。
浦和は東京のサイド攻撃に両サイドが下がり5バック気味。中盤で数的有利を活かして東京に高い位置で再三ボールを拾われる。
攻守の切り替えの速いスリリングな展開となった。
守ってはジャーンがワシントンを抑え、今野が渾身のボール奪取。奪っては石川が、馬場が、梶山が走る。
思わず04年のナビスコ決勝を思い出す。

後半も東京が押し込んだが、浦和もカウンターからチャンスを作る。
山田のシュートに塩田が飛び出してゴールが無人になるが、ボールはぎりぎりそれていく。
小野が入ってから浦和は前ががりになってくる。ワシントンのシュートを塩田が足でかろうじて弾く。
カウンターで応酬する東京。今度はノリオの強烈なシュートを山岸が弾く。
ひりひりとした時間が流れる。
時間の経過に伴って、終盤ガンバが同点と伝えらたのか浦和がセーフティになる。
このまま引き分ければ浦和の優勝である。らしくない守備的な浦和。
優勝のプレッシャーとはこういうことなのか。

果たしてスコアレスのままタイムアップ。瞬間浦和のゴール裏は静まり返った。
このままガンバが引き分けなら優勝は浦和だが、電光掲示板で知らされた万博の結果は3-2でガンバの勝ち。
首の皮一枚で我々は浦和の胴上げを見ずに、ガンバは最終節まで持ち込み、そして京都はJ2に降格が決まった。
スタジアムにいた我々はその時はロスタイムでのゴールとは知らなかったが、
劇的なあまりにも大きなマグノ・アウベスのロスタイム弾だった。

おかげで東京の最終節のセレモニーはつつがなく行われた。
フミタケの引退スピーチには浦和サポーターからも暖かい拍手が送られた。
ありがたいことだ。
フミタケのために意地を見せた選手たちには敬意を表したい。ただあと一歩決定力がなかった。
それは来年への大きな課題だ。

浦和にとってもこれでよかったのではないか。苦しんだ分だけ喜びも爆発するだろう。
ホームで大勢のサポーターとともに優勝を分かち合える方がきっと幸せだ。
ガンバには東京は最低の仕事をしたのであとは自力で頑張れとしか言いようがない。

点が入らなくても楽しめるゲームがある。これがサッカーの魔力かもしれない。


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2 コメント

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ちわ (goodman)
2006-12-02 23:52:49
ごっつあんです!
本日、見事優勝を飾りました!!
感激です!浦和やりました。
来年も東京と素晴らしい試合が出来ますように!
両軍のスピードスターの復活を願っています。
あとは地元神戸が入れ替え戦を制するかどうか・・・。
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おめでとう (かず)
2006-12-05 22:55:53
浦和の優勝おめでとうございます。
今年の浦和は磐石でしたね。
来年は捲土重来を期します。
来年は今年の借りを返しに行きますよ。
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