Manaboo 電子政府・電子申請コラム 

電子政府コンサルタントの牟田学が、電子政府・電子申請、その他もろもろ、気まぐれにコメントしてます。

失敗を改善につなげるエストニア、失敗を認めたくない日本

2017年02月17日 | 電子政府
人口規模は杉並区 + 世田谷区。小国エストニアがイノベーションを生み出せる理由。
エストニアの面白さだけでなく、ラウルさんの人柄が伝わる良い記事です。
 
「日本はやる前になんでも考えてしまうところがあって、準備に膨大な時間をかけています。たった1%のリスクをつぶすために苦心して99%がなかなか前に進められない。エストニアは一度決めてしまえば、そこまで深くは考えないんです。失敗したとしても、重要なのは早くその失敗に対応すること。うまくいくか分からなくても、とりあえずまずはやってみる。失敗を繰り返しながら、どんどん改善していくのです。」は、確かにそうですね。
 
日本の場合、住基カードとかどう見ても失敗なのに「いや失敗ではない」として、結果的に改善や撤退が遅れる印象があります。電子政府でも、「行政の無謬性」が一時期の話題になりました。
 
マイナンバーカードは、申請数が1千万を超えて、今のところ失敗ではありません。むしろ、大成功と言えるでしょう。しかし、実際に利用する場面では、失敗体験(身分証明書として使えなかった、電子証明書の利用でトラブルが起きた等)を聞くことが増えています。新規の申請件数が頭打ちになれば、制度自体が失敗となる可能性が高まります。小さい失敗を迅速に改善する中で、それでもダメなら抜本的な見直しが必要になるでしょう。
 

 
The Government Transformation Strategy 2017 to 2020
英国が新たなデジタル戦略(政府変革戦略」を策定しました。2012年の政府デジタル戦略を引き継ぐもので、政府のデジタル化(変革)の方向性を示すと共に、公務員の働き方、組織のあり方、市民へのサービス提供方法などに触れています。主要なテーマは、ビジネスの変革、スキルと能力、市民サービス(を提供する公務員のための優れたツール、プロセス、ガバナンスの構築)、データ、共有プラットフォームの5つです。
関連>>Government Transformation Strategy 
Published 9 February 2017
 
Service Toolkit - GOV.UK
英国では、政府基準を満たすサービスを設計、構築、実行するためのツールを提供していますが、かなり充実してきました。日本にも、同じような基準を作り、ツールを提供して、官民でサービス構築に利用できるようにすればと思います。
 
State of the States 2017: The Future is Automation
「自動化」は電子政府・デジタル政府において最重要のキーワードで、ロボット工学と自動化の技術進歩を公共サービスに活用できるか否かで、その国の競争力が大きく変わってくるでしょう。
 
SPID - Sistema Pubblico di Identita Digitale
官民のオンラインサービスにアクセスするためのログイン手段となるイタリアのデジタルIDサービスは2016年3月に始まりましたが、利用者が100万人を突破しました。最初はIDとパスワードを発行し、サービス内容によってワンタイムパスワードやスマートカードが必要になります。複数のデジタルIDを用途に応じて使い分けることも可能。国民IDカードの普及が進まないので、モバイル対応も考えて、新しいデジタルIDサービスを考えたようですね。
現在の主な利用者は、1998年生まれの18歳と教師とのこと。どちらも支給された500ユーロの手当(成人お祝いと教師能力向上補助金みたいなもの)をオンラインサービスで使えるそうなので、それなら利用も増えますよね。今年の1月からは、小中学校のオンライン登録が始まりました。
関連>>Piu di un milione di italiani con SPID, i numeri a 9 mesi dall'avvio
 
Estonia sixth in the world by economic freedom, second in Europe
エストニアが、ヘリテージ財団とウォールストリート・ジャーナルによる経済自由指数で世界6位、ヨーロッパで2位にランクされたと。独立した効率的な司法制度による法の支配、簡素な税制、外国投資に対する開放性、自由貿易体制、公共財政の賢明で健全な管理により公的債務を世界最低水準に維持など、日本と正反対の道を進んでいます。
 
マイナンバー・マイナンバーカード広報大賞受賞団体の決定及び表彰式の開催
平成29年2月10日
広報企画部門の大賞団体として「茨城県五霞町(ごかまち)」が選ばれています。平成28年9月30日現在で、マイナンバーカードの申請率28.8%と。やるべきことを地道に行なっている印象です。
 
公務員の働き方改革 第 1 回
「働き方改革」を考える上での公務員の業務の特色
民間企業に比べ、業務に紙を使うことが多いことは公務員として働いたことが無い一般の方々の間でも有名な話でしょうが、実際に地方自治体で働いてみてそれを実感したと。
 
8時間で帰れる、暮らせるワークルールの作り方
1.残業時間に上限を作り、解雇規制も緩和する
2.残業代に頼らなくてもよいように、ホワイトカラーエグゼンプションを実現する
3.その上で、自分でしっかり努力する
3点をバランスよく実現できるなら、「8時間労働で帰宅できて、なおかつ十分な生活水準を送れるだけの収入も確保できる社会」は十分実現可能だろうと。
私は個人事業主で、基本的には時給管理を外した成果報酬なので、自ずと短時間で効率的に働くようになりますね。
 
伊集院光、清水富美加を巡る騒動に「意見が一色なことに気持ち悪さを感じる」
http://www.hochi.co.jp/entertainme…/20170214-OHT1T50112.html
「町工場でも放送局でもいい。寝ずに働いて『俺もう無理です』という若者に、『俺たちの若い頃はもっと仕事していたぞ』とか『他の人に迷惑を掛けるから頑張れ』と言うのを良しとしていた時代があるけれど、もはや違うだろうと俺は思う。彼女は死にたいと思っていて、そういう人に『仕事の責任を取っていないのにやめるな』というのは俺は違うと思う」と。
まあ、これが正論ですよね。まずは彼女が無事に生きていることを喜ぶべきで、契約云々という話は、その後で良いこと。芸能界村のルールの前に、憲法で保障された思想及び良心の自由、信教の自由、生存権、職業選択の自由などがあるのですから。
 
情報通信審議会 情報通信政策部会 IoT政策委員会(第8回)
第三次中間報告書(案)、IoT総合戦略ロードマップ(案)など。IoT総合戦略ロードマップ(案)には、ネットワーク層、プラットフォーム層、サービス層、端末層、縦断的課題とあり、最も重要なデータ層が「縦断的課題」の中に埋もれてますね。プラットフォーム層にある「認証連携基盤の構築」では、官民ID連携を実現するための制度整備、技術実証、ブロックチェーンと公的個人認証の連携の在り方等の検討などがあります。
 
マイナンバー障害に振り回される自治体、一体何が起きていたのか
発注者であるJ-LISの体制も不十分だった。2016年4月に民間出身者をシステム統括担当理事に登用。7月に理事を補佐する「システム統括室」を新設するなど、ようやくガバナンス強化に乗り出していると。
 
ブロックチェーンの課題解決や標準化へ、世界はどう動いているのか
ブロックチェーンにおいても、個別の企業や技術者の宣伝になるのではなく、中立公平に選抜された技術が標準化されていくことが望ましいと。
 
知られざる暗号の“2017年問題”、安全サイトが突如警告サイトに
米マイクロソフトは2013年11月、米グーグルと米モジラ財団は2014年9月に、2017年1月以降はSHA-1版サーバー証明書を受け入れないことを明らかにしていた。安全でないサイトと見なされると、Webブラウザーによっては警告の表示どころか、アクセスの続行すらできない。国内にもそんなWebサイトが数%残っていると。
 
IoT機器は「1分以内」に乗っ取られる 
マルウエアが自身のコピーをIoT機器に残し、自動実行する環境が整っていないため、電源を入れ直して再起動すればほとんどの場合は駆除できるが、常時稼働しているルーターなどが問題と。
 
世界経済フォーラム(WEF)国際競争力レポートにおけるイノベーションランキングの現状の分析について
内閣府 政策統括官(科学技術・イノベーション担当)
日本は、昨年までは4位から5位の間にて推移していたが、2016-2017年版では8位に後退。研究開発の成果を社会的価値につなげる力やオープン・イノベーションに対する日本の弱みを示している可能性があると。
関連>>「第4次産業革命(Society5.0)・イノベーション」会合(イノベーション)(第2回)
 
ガートナー、2017年以降のIT人材に関する展望を発表
2020年末までに、日本のIT人材は質的に30万人以上の不足に陥る
2020年までに、日本のIT部門の10%が、IT組織の「一員」としてロボットやスマート・マシンを採用すると。企業によっては、半分以上がマシンになるところも出てきそう。
 
Poland boosts services with ‘once-only’ principle
ポーランドでも「一回限り」の原則が浸透してきたようです。市民が財政的支援をオンライン申請すれば、出生証明書や納税証明書などを提示する必要がなくなると。
 
EUデータ保護規則への対応急ぐ、楽天とIIJが包括的な認可取得
楽天が、欧州拠点があるルクセンブルクのデータ保護機関から「拘束的企業準則」BCRの承認を受けたと。
関連>>楽天、EUデータ保護機関より拘束的企業準則(Binding Corporate Rules)の承認を取得
今回承認を得た BCR を基に、2018年5月からEUで統一的に施行されることとなるプライバシー保護法「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)」に対する準備を進めていると。
 
カメラ画像利活用ガイドブックver1.0
個人情報保護法等関係法令を遵守し、個人を特定する目的以外の目的でのカメラ画像の利活用を検討する事業者が対象で、防犯目的で取得されるカメラ画像の取扱いは対象外。適用ケースに応じた配慮事項等を提示。こうしたガイドブックの公表は、とても良いことですね。
適用ケースは、
1)店舗内設置カメラ(属性の推定)
2)店舗内設置カメラ(人の行動履歴の生成)
3)屋外に向けたカメラ(人物形状の計測)
4)屋外に向けたカメラ(写り込みが発生し得る風景画像の取得)
5)駅構内設置カメラ(人物の滞留状況把握)
 
「マイナポータルは夏に延期、マイナンバーカードを五輪入場券に」、担当室長明かす
都道府県CIOフォーラム第14回春季会合
コンビニエンスストアでの交付サービスが普及していることに触れ、「戸籍を遠隔で取れるのは非常に便利だと思う。取り扱う証明書の種類を増やすよう、今後努力したい」と。これが現実なのですね。。
 
マイナンバーのシステム問題、多発の根本原因はガバナンスの欠如だ
情報連携のシステムが稼働しても、「制度が目指す業務の効率化は当面、実現しそうにない」、「情報連携によるオンライン照会やデータ送受信に加えて紙や電話でのやり取りが残ってしまい、作業の負担が増える恐れがある」と。
 
特別会計ガイドブック(平成28年版)
特別会計歳出総額から会計間相互の重複計上額、借換償還額を除いた特別会計歳出純計額は、平成28年度当初予算で201.5兆円(対前年度+6.4 兆円)。
その内訳は、
①国債の元利償還費92.2兆円(対前年度+1.8 兆円)
②社会保障給付費65.8兆円(対前年度+3.2兆円)
③地方交付税交付金等18.4兆円(対前年度▲0.9 兆円)
④財政融資資金への繰入れ16.5兆円(対前年度+2.5 兆円)
⑤復興経費2.9兆円(対前年度▲0.4 兆円)
⑥その他5.7兆円(対前年度+0.2兆円)となっています。 
統廃合で多少は減りましたが、まだまだ多いですね。
・交付税及び譲与税配付金特別会計
・地震再保険特別会計
・国債整理基金特別会計
・外国為替資金特別会計
・財政投融資特別会計
・エネルギー対策特別会計
・労働保険特別会計
・年金特別会計
・食料安定供給特別会計
・国有林野事業債務管理特別会計
・貿易再保険特別会計
・特許特別会計
・自動車安全特別会計
・東日本大震災復興特別会計
 
個別事業のフルコスト情報の開示について
生活保護費負担金の交付業務の中間コスト(間接経費)・単位当たりコストが出ています。生活保護費負担金の交付業務の27年度のフルコストの性質別割合は、「人にかかるコスト」が81.5%、「物にかかるコスト」が7.4%、「庁舎等(減価償却費)にかかるコスト」が11.1%となっており、「人にかかるコスト」の割合が高いといった特徴があると。
 
買物レシートの電子化を通じたデータ利活用に関する実験を行います~個人を起点にした購買履歴データの流通環境の整備~
個人が安心・納得して自身の個人情報や買物レシートデータを管理・提供できるシステムの標準化を目指すと。「電子レシートアプリ」を用いて、事業者が保有している自身の買物レシート(購買履歴)データにアクセスし、電子化されたレシートをスマートフォンで自己管理できるようにします。
 
フィンテックに関する現状と金融庁における取組み 平成29年2月
FinTechサポートデスクの設置、オープンAPI、銀行法等の一部を改正する法律など。前回とあまり変わってないかな。
 
第1回 保健医療分野におけるAI活用推進懇談会 平成29年1月12日
AIの特性を踏まえ、その活用が患者・国民にもたらす効果を明らかにするとともに、保健医療等においてAIの導入が見込まれる領域を見据えながら、開発推進のために必要な対応およびAIを用いたサービス等の質・安全性確保のために必要な対応等を検討すると。
 
行政書士法施行規則の一部を改正する省令案に対する意見募集 平成29年2月15日
自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)手続の拡充に際し、手続として新たに道路運送車両法第62条第1項に規定する継続検査の申請を指定し、その手続を行う者として、一般社団法人日本自動車販売協会連合会及び一般社団法人日本自動車整備振興会連合会を指定するもの。一般の人は、何のこっちゃ?と思うでしょうね。


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