江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

植木坂

2014-03-08 | まち歩き

植木坂は前回御紹介した鼠坂に接続する坂です。名前の由来は周りに植木屋が多かったから。今は大使館が多いとか、御洒落なイメージが強い麻布界隈ですが、江戸時代には植木屋が多かったというのは、なんとものんびりムードで面白い感じがします。一説によると、秋になると菊の名所で観られる菊人形は、この植木坂周辺の植木屋が始め、その後各地に広がったものだそうです。


ここ麻布に限らず、江戸の当時は季節の花を観るための行楽地として人々が植木屋に足を運び、それゆえに、植木屋も色々な趣向を凝らして人を呼び込んだといいます。今風に言えば、植木屋はテーマパークのようなものであったのかもしれません。もちろん、ガーデニング用品を取り扱うホームセンターのような役割も有ったことでしょう。ちょっとした緑や花があるだけでホッとする。日本人のそんな感覚は今も昔も変わっていないようです。


植木坂は、鬼平犯科帳(二十一)「麻布一本松」(池波正太郎著、文藝春秋)の中に登場しており、そこでは、「あ、鼠坂なんかを歩いてどうするつもりなのだ。(中略)植木屋ばかりではないか・・・ そのとおり、麻布の鼠坂の辺りには植木屋が多く、この坂を「植木坂」とよぶ人もいる。」と記されています。前回、「鼬坂(いたちざか)」「植木坂」「鼠坂」の三つの坂をどう呼ぶかについては諸説あることを紹介しましたが、池波先生は、「鼠坂」と「植木坂」は同じ坂という書き方をされています。従って、鬼平犯科帳に登場する「植木坂」は、今回御紹介する「植木坂」ではなく、前回御紹介した「鼠坂」(あるいは「鼬坂」)のことを指しているという見方も出来ます。


植木坂 東京都港区麻布台3-4-20

東京メトロ南北線・都営大江戸線麻布十番駅から約600m 徒歩約8分


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