江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

善光寺坂

2012-06-16 | まち歩き

善光寺坂は東京メトロ千代田線の根津駅近くから谷中の丘へ上る坂で、信濃坂ともいいます。坂の名前は坂の北側に在った善光寺にちなむものですが、善光寺は元禄十六年(1703年)の大火で類焼して、現在の表参道駅近くに移転したため、名前だけが地名として残りました。従って、江戸後期の古地図の中には善光寺の名前は在りませんが、江戸初期の古地図[1]には善光寺坂の途中に「センカウシ」と記されており、おそらくこれが善光寺のことだと思われます。現在の善光寺坂は言問通の一部で、大変車通りの激しい通りになっています。


善光寺坂は、池波正太郎著「谷中・いろは茶屋」(鬼平犯科帳(二)に収録、文藝春秋)の中に登場しており、坂を上りきったところには、同作品に登場する一乗寺と木村忠吾が怪しい数珠店・油屋を見張るために身を隠した上聖寺が実在します。


また、名前の由来となった善光寺は、池波正太郎著「剣客商売(十)」(新潮社)の「善光寺・境内」の章に、「宝永二年(一七〇五年)に、将軍・徳川綱吉の命によって青山に遷されたという。」との記述と共に登場しています。


善光寺坂が登場するその他の作品

  • 池波正太郎著「辻斬り」(剣客商売(二)に収録、新潮社) *一乗寺も登場しています。

[1] 元禄江戸図、元禄六年(1693年)/古地図史料出版(株)復刻地図


善光寺坂(上聖寺) 東京都台東区谷中1-5-3

東京メトロ千代田線 根津駅から約450m 徒歩約6分


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