ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

真昼の死闘

2021年08月02日 | 映画みたで

監督 ドン・シーゲル
出演 シャーリー・マクレーン クリント・イーストウッド

 まずこの映画の一番の不思議。「真昼の死闘」という邦題。死闘はともかくなぜ真昼なのか。ラストのアクションシーンは夜である。冒頭のホーガンがならず者3人をやっつけるのは昼だけど3人を瞬殺してるから「死闘」ではない。これひとつの不思議。原題はTwo Mules for Sister Saraという。「シスター・サラと2頭のロバ」シスター・サラはシャーリー・マクレーンが演じてる尼さん。だからこの映画の主演はイーストウッドではなくマクレーンなのだ。クレジットタイトルでもマクレーンが最初でイーストウッドが2番目。たぶん日本で配給した映画会社がマクレーンよりイーストウッドの方が客を呼べると判断してこないな不可解な邦題をつけたのではないか。
 監督はイーストウッドの二人の師匠の一人ドン・シーゲル。映画が始まって、もう一人の師匠セルジオ・レオーネの映画かいなと思わせる。なんせオープニングでかかる音楽がエンニオ・モリコーネだ。マカロニっ臭がぷんぷんのオープニングだ。ところが映画が進むと、ガンマンと尼さんの珍道中のコメディぽくなる。
 流れ者のホーガンが3人の悪漢に乱暴されかかっている尼さんを助ける。尼さんシスター・サラは、当時メキシコを支配していたフランスの軍隊とわけありな様子。どうもメキシコのレジスタンスのシンパみたい。ホーガンはフランス軍の金を強奪するのが目的。ホーガン、シスターはレジタンスのリーダー、ベルトランと会う。ベルトランはフランス軍の駐屯地を破壊するのが目的。ホーガンは金が目的。シスターの目的は判らんが、3人の利害が一致した。そしてフランス軍の駐屯地を攻撃する。
 原題の2頭のロバは、シスターが乗っていたロバ。もう1頭のロバはシスターにいいように使われているあの男。イーストウッドはマクレーンの引き立て役の映画であった。
 尼さんとか坊主なんて宗教関係者は聖職者で悪もんではない。人格高潔有徳の人と見られている。だからマクレーンは最後と冒頭のシーンをのぞいてずっと尼さんのかっこうしている。