ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

ミニミニ大作戦

2020年10月12日 | 映画みたで

監督 F・ゲイリー・グレイ
出演 マーク・ウォールバーク、シャーリーズ・セロン、エドワード・ノートン

 1969年版は観ていない。2003年版のを観た。この映画の主役はモーリス・ミニクーパーということになるのだろうな。だからミニが走り回る映像をみせたいわけだろうが、ただたんに小さな車が走り回っているだけでは映画にならない。
 泥棒映画である。イタリアのベニスで50億円分の金塊を盗み出したチャーリーたち。この泥棒のチームにはコンピュータや運転、機械工作のすご腕のプロがそろっている。まんまと金塊を盗み出した一行は、仲間のスティーブの裏切りにあう。チャーリーは師匠のジョンを殺され、金塊を全部持って行かれる。
 1年後、スティーブはロスアンゼルスに居た。金塊はまだ持っている。チャーリーは生き残った仲間に、ジョンの娘で金庫破りのプロのステラを加えて、スティーブから金塊を奪還する作戦を立てる。ステラにとっては父の仇討ちでもある。と、いうストーリーだがなんのことはないありきたりな泥棒モノである。それにヒロインのステラ役のセロンは魅力的だが、ヒーローと悪役に魅力がない。ヒーローはいいとして、かような映画で悪役に魅力がないのは致命的である。
ノートン演じるスティーブはどこから見てもチンピラである。
 で、この映画の真の主役は車のモーリスミニクーパーであるのだが、なぜミニなのかはさして強調されなかった。なぜポルシェやフェラーリじゃだめなのか。映像は地下鉄の線路内や下水道を駆け回り、最後は貨車に隠れる。ミニの小さな車体が必要とのことが映像を見たら判るが、登場人物たちにいろんな車のなかからミニにしようという検討するシーンがあれば、なぜミニなのかが説得力があっただろう。
 ミニクーパーはFF車である。前部にエンジンを積み前輪を駆動させて走る。このミニクーパー小さな車であるがモンテカルロラリーで何度も総合優勝をしている。これでミニクーパーの有能さが証明され世界的な人気車になったのである。モンテカルロラリーは雪道を走るラリーである。FF車は前輪で駆動するため車体を引っ張って走るのである。FR車は後輪で駆動する。車体を押しているのである。ミニクーパーは滑る雪道でのFF車の有利さを実証したわけ。
 ミニクーパーはFF。このことが頭に有るから、小生はこの映画一番の見せ場ミニクーパーのカーアクションを堪能できなかった。頭にいっぱい?を浮かべながら観たわけ。重量物の金塊をミニのトランクに入れて走りまわるのである。車体後部が重くなる。ということは前部が少し浮きぎみになる。ミニクーパーは前輪を回して舵も前輪で切っている。かような車で重量物を後部に積んで派手なカーアクションが出来るであろうか。小さな車で狭い所を走り回りたいのなら、小生ならFRのフィアット500を選ぶ。映画「カリオストロの城」の冒頭でルパンたちが乗っている車である。