ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

じんじん

2022年11月09日 | 映画みたで

監督 山田大樹
出演 大地康雄、小松美咲、佐藤B作、若村麻由美、中井貴恵、絵沢萌子

 シナリオライターの仕事を理解できる映画だ。絵本、大道芸人、幼きとき別れた娘、北海道の無名の町。これだけの要素を入れて映画を1本つくっている。しかも、いささかベタではあるが親と子の絆を描く感動作に仕上がっている。
 大道芸人の立石銀三郎は、北海道の農家の幼友達の田植えの手伝いに来た。その町剣渕町は無名の町だった。お酒の剣菱と間違えられたりして。「絵本の里」として町おこし。町の人たちが子供たちに読み聞かせをしている。
 銀三郎滞在中に、友人経営の農場に4人の女子高生が研修型修学旅行でやって来る。ほどなく3人とは仲良く打ち解けるようになったが、日下部彩香という子だけはいつも暗い顔をしている。
 友人の息子が彩香にわけを聞く。彼女の両親は離婚して、今は母と継父とくらしている。実の父にはかわいがってもらった記憶だけがある。実父とはその後あっていない。継父とは口も聞かない。
 銀三郎は彩香のために絵本を書いて、剣渕町の絵本コンクールで優勝すると彩香に宣言する。
 こりゃ、銀三郎の絵本が一等賞になってめでたしめでたしで、感動に打ちふるえながら映画は終わるのかなと思っていた。違った。銀三郎は絵本は完成させていたがコンクールに応募していない。その絵本はただ一人の読者に手渡された。
 で、結果としてめでたしめでたしになったが、ちょっと銀三郎がかわいそう。
 なんか、「寅さん」が隙間から垣間見える映画であった。