Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

Occidentalの友人は何処へ ~英語ことはじめの頃~

2007-02-11 05:21:05 | 人間発達論:言語・外国語・高等教育
オバマ氏が米大統領選挙に出馬との話である。私の予想ではヒラリーVSライスの女性対決が展開されると思っていた。女性同士で、一方は黒人系、もう一方は白人系と言う寸法だ。もっともヒラリーの名前ロッダムとはオランダ系ユダヤ人の姓名であると指摘する識者もいるが。いずれにせよ黒人系と女性と言う組み合わせと言う意味で、アメリカ史上かつて無かった階層が今回大統領選に出るだろうとは、大方予測が付いていただろう。オバマ氏とあって、ハーバード大学院出身とあるから、アメリカエリート層の取るべきコースを取った事がわかる。ところが学部教育を見てみるとOccidental大学出身とあるではないか。

Occidental大学はロスアンジェルスにある大学とは前から知っていた。学生時代の友人がOccidentalから留学していて、日本語や日本文化などを専攻していたからだ。こちらはとにかく英語をブラッシュアップしたい一心で、一分一秒でも英会話のチャンスを探していたので、英語圏出身の外国人の友人を日本で持つ事が出来ると言う事だけでも嬉しかった事はいま考えれば妙な感覚だが、当時は余り気にならなかった。

友人を交えて食事をしたり、電話で話をしたり、日米の色々な違いや共通点について話し合った。この時の感覚は「もっと語彙があれば・・・。」と言うものばかりで、これが後に本格的に英語ではなく日常英会話を学ぼうと言う動機付けとなった。まず耳がついて来ない。また英作文が即座に出来ないから言葉が口から出ない。日本的な物事を英語で表現できない。アメリカ人の相手に伝わる感情表現の仕方がよくわからない・・・。専門科目や大学生活について説明出来ない・・・。種々の分野にわたって徹底的な劣等感を感じ、そこから英語を脳内に常駐させておこうと言う考えに到った。

大学の授業から英字新聞を読む事を学んだ私は、次にペンギンブックスの様な書籍に挑戦してみた。読めない・・・が、構わなかった。英文を目から脳に流していく作業に近かった。意外だったのは、小説は読めなかったが、哲学書は読めたと言う事だった。論理的に明解で、専門的な術語さえ調べれば、意外と地の文はシンプルに書かれていた。その後、専門書を原著で読む機会が出来たときにも同じ体験をした。術語自体が難しいのであって、論理的展開自体はかなり明解で、英文法の間違いさえなければ何とか意味はとれた。この訓練のおかげで、学部生・大学院生の合同の原著購読会では参加していた大学院生よりも正確に意味がとれた。理由は簡単で、英文に対する「おそれ」が無くなっていたので、落ち着いて英文を読む事ができたからだ。

学外の実生活では、50年前に本邦に進駐してきた新興の超大国の国民に負けてたまるかと言う妙な意識がいつもあった。「IN THE MOOD」を聴くとコーンパイプ加えたマッカーサー元帥を想い出して口惜しさが込み上げてしまう程に脳内が化石化した私にとっては、英語とは英国ではなく米語のそれであり、米国とは憧れと同時にまだまだ敵国なのであった。小学校の時に通った書道塾の先生から「鬼畜米英」と言う言葉を習った日に、その意味を尋ね、また嬉々としてその言葉を何枚も書き連ねたコドモだった私が気が付けば米語に夢中になっていた。

他の言語とは異なり、英語に必要以上に夢中になると他の日本人から煙たがられる事はよく知っていたが、自分のライフスタイルとしてせっかく義務教育で習った英語をもっと身につけて、世界に出たかった。英米と英連邦や米信託統治領の他には旧英米の植民地はもとより、皮肉にも彼らの帝国主義的外交政策のおかげで広く世界で使える言語である。今後は未だに貧困や疾病と闘っているフランス語圏・スペイン語圏もしっかりと射程に入れてゆきたいと思う。

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