どすこい山根康民日記

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在宅死の映画を見て。紀伊民報2019年(令和元年)10月26日付掲載

2020-01-14 20:38:39 | 日記


在宅死の映画を見て
白浜町 山根康民(会社員・49歳)

大阪市内でドキュメンタリー映画「人生をしまう時間(とき)」
を見るため、原付きバイクで出掛けました。
NHKで放映された「在宅死”死に際の医療”200日の記録」
を再編集した作品ですが、上映初日で監督の舞台あいさつもあり満席でした。

映画では、死が目前に迫るご本人と周りの家族、
サポートする医師や看護師等の姿が映されていました。
死と向き合う中にも会話があり、涙もあれば笑顔も見せる。
さまざまな家庭での在宅死の中で印象に残ったのは、
子宮頸(けい)がんで40代の娘さんを亡くされたお母さんと
お父さんを介護する全盲の娘さんが、最期をみとるシーン。
涙が流れてきました。子どもに先立たれるつらさは言葉に表せません。

そして、全盲の娘さんが介護するというのは私には想像を絶することでした。
医師から「心臓がほとんど動いていませんが、かすかに息をしています」と言われ、
お父さんの喉仏に手を当てると、上下に動き、
かすかに呼吸している様子が手に伝わってきますが、
しばらくすると息を引き取られました。

上映後、監督との質疑応答がありました。
自宅で義母を介護しているという女性が質問し、映画では住み慣れた家で最期を迎えているが、
自分は義母に住み慣れた家を離れてもらって介護していることについて、心情を吐露されていました。
観客の中には、在宅介護の参考にと訪れた方もおられたと思います。

その後、帰り際に年配の女性と映画について話したのですが、
女性は8年前にご主人を亡くされ、現在は目がほとんど見えない息子さんと暮らしているとのこと。
「子どものためにも1日でも長く生きていたい。
そして、見ず知らずのあなたとお話しできてよかった」と言われました。
私も同じでした。

さまざまな事情を抱えながらも暮らす人々。
いつか訪れる死。自分は、どうすればよいのか。
答えは分かりませんが「多くの方とお話をしたい」と感じた一日でした。


紀伊民報、声(読者の欄)に掲載されました。
ドキュメンタリー映画「人生をしまう時間(とき)」公式サイト
https://jinsei-toki.jp/index.php

人生をしまう時間(とき)予告編
https://www.youtube.com/watch?v=TcNeR5vweG0