食・飲・読の日記

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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年@村上春樹

2014-04-21 17:30:07 | 本(ま)
  色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年@村上春樹 

あらすじ(「BOOK」データベースより)
良いニュースと悪いニュースがある。多崎つくるにとって駅をつくることは、心を世界につなぎとめておくための営みだった。あるポイントまでは…。




村上春樹さんの作品で初めて読んだのはカンガルー日和。今回2作目です。
読み始めての印象は、○○のように、とか××みたいなといった表現が多いということ。とっつきにくいかな‥と思ったところで、主人公つくるが自分のことを「すべてにおいて中庸なのだ。あるいは色彩が希薄なのだ。」と表し、何となくそれまでの表現がしっくりはまったような気がしました。実際にはつくるは中庸でも色彩が希薄でもないと思いましたが。物語は、主人公つくるの心の奥底に隠し凍らせておいた感情を溶かしていく過程が描かれています。仲間外れにされるという誰にでもありうる現実がきっかけで、つくるは心の闇を持つわけですが、あぁ自分もそう考えるかもとか、そうなっちゃうかもとか、共感できる部分もある一方、つくるの見る夢の描写など現実を遠巻きにちがう目線でとらえる表現などもあり、理解できたようなできないような‥。 本を読んでいる間中つくるの持つもやもやとしたダークな空気感がまとわりついてましたが、読後はなんとなくスッキリしました。最後に、つくるが心からほしいと思っている沙羅に、どんな言葉でその思いを伝えるのかを楽しみにしていましたが、2人が会う前に物語は終わってしまいました。読者の想像におまかせというところでしょうか。ちょっと残念でした。

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