かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 265

2024-05-24 16:44:27 | 短歌の鑑賞
2024年度版 渡辺松男研究32(15年10月)
   【全力蛇行】『寒気氾濫』(1997年)110頁~
    参加者:S・I、泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、N・F、
        藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放
       

265 逃げてゆく子蛇を追えばしゅるしゅると子蛇は全力蛇行で逃げる

      (レポート)
 動物が逃げる時は、一直線に逃げるのが普通だ。ところが蛇は蛇行しないと前に進めないため、逃げるときでも「全力疾走」ではなく、「全力蛇行」しながら逃げるほかはない。子蛇のその姿は滑稽でさえあるが、それが追うものに対してはフェイントをかけることにもなり、種の保存に繋がる。(鈴木)


      (当日意見)
★面白い歌。普通は全力疾走だけれど、どうしようもなく哀しい業というか直線的に進
 めない、生き物としてのかなしさ。(真帆)
★真っ直ぐに逃げればいいのに蛇行するというだけの歌ではないと思うのですが、何が
 隠れているのか分かりません。(M・S)
★業とか生き物の哀しさとか言いましたが、ユーモラスで楽しい歌だと思います。
  (真帆)

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