かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  152

2021-10-06 17:24:14 | 短歌の鑑賞
 ブログ版清見糺鑑賞 23  東芝Rupo
                        かりん鎌倉なぎさの会 

     
152 駒形にむぎとろ食すと痩す痩すを隅田の風に吹かれわが来つ
       「かりん」2000年8月号

  この歌は万葉集の大伴家持の次の歌の二首目を下敷きにしている。

 石麻呂に吾れもの申す夏痩せによしといふものぞ鰻(むなぎ)とり食せ
痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた鰻(むなぎ)を捕ると川に流るな                 (万葉集16巻3853・3854)

 家持が痩せている石麻呂をからかった歌で、1首目は夏痩せに効くそうだからおまえ鰻を捕って食べたらどうだい、2首目は痩せていても生きているだけましだが、鰻を捕ろうとして川に流されるんじゃないよ、という意味。
  
 鰻ほどの効力は無いかもしれないが、暑いので精を付けるために「むぎとろ」を食べようと「駒形」にやってきたという。「痩す痩す」の語によって万葉時代の痩せに痩せた岩麻呂をイメージさせ、隅田川の川風に「痩す痩す」の身をよろめかせつつたどり着いたような演出をしている。
 「駒形」は麦とろで有名な老舗。お店は隅田川のほとりにあるので、船でやってきたのかもしれない。近くには水上バス浅草の乗り場があり、お台場や日の出桟橋、浜離宮などから隅田川を上り下りして行き来することができる。

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