かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

写真追加版 馬場あき子の外国詠 128(ネパール)

2021-01-14 17:14:06 | 短歌の鑑賞


      夕陽を浴びるニルギリ、同行した歌友の山口惠子さん提供




 ジョムソンに着いた日の夜は月の出を待って、こんなふうに着ぶくれて戸外にいた
 顔も寒いのでスカーフを巻いている。向かって左が寺戸和子さん、右が鹿取
 私が見たのはピンポン球のように小さくて白い月だった。
 がっかりして部屋に戻ってすぐに寝てしまったが……
 どうも夜中にはホテルの部屋から大きな月が見えたらしい。
 日付が間違っているが、2003年11月8日

      
      山口惠子さん提供、ニルギリは写っていませんがこの日の満月だそうです


  馬場あき子の外国詠15(2009年1月実施)
    【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)81頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
       近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)


128 ムスタンの満月ただにしろじろとニルギリを照らす一夜ありたり

       (レポート)
 井上靖の「ヒマラヤの満月」という短編小説にヒマラヤの風や霧やその匂いが読んでいるページにただようように書かれていて、出会えた月を「天の一角に白銀の欠片がおかれている」とあるらしい。掲出歌の「満月ただにしろじろと」とあるように、どうやらネパールで見る月は白いのかもしれない。さてその月をたずねた地名と共に「ムスタンの満月」と初句に置き、俳句の土地への挨拶にならったのかと思ったが、それのみではない。ムスタン、ニルギリと固有名詞を二度までうたいながら、一首が騒々しくなるどころか、静けさや荘厳が感じられ、「ニルギリを照らす一夜ありたり」とはそこに作者がいあわせたことをうかがわせて、表現に妙味がある。(慧子)


           (まとめ)
 「ムスタン」という語はジョムソンを含む広域の呼び名で、知名度はジョムソンよりムスタンの方が格段に高い。そのムスタンに満月が照り輝き、一夜だったがその光景に遭遇して感銘を受けた。その貴重な一夜に巡り会えた尊さを言っているのだろう。(鹿取)

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