かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 143(ネパール)

2019-12-30 19:09:48 | 短歌の鑑賞
   馬場あき子の外国詠17(2009年4月実施)
    【ムスタン】『ゆふがほの家』(2006年刊)86頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
  近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)


143 標高三千に稲の道あり不可思議の情熱のごと稲は稔れり

     (レポート)
 通常では考えられない寒冷地での稲作である。それが近藤翁の情熱に応えるように稔ったのである。そこに馬場先生は、通常の人間の情熱を超えた神の恩恵・采配を感じられたのかも知れない。「不可思議の情熱のごと稲は稔れり」にそのお気持ちが現されているように思う。(T・H)


      (まとめ)
 近藤亨氏が標高三千の荒れ果てた高地に稲を稔らせたのは、はるか何千年もの間にたどった「稲の道」ではない。ルートを外れた人工の強引な技の結実であり、それは貧しい土地の人たちに何とかして豊かな稔りを届けたいというひたすらな情熱の結果である。それを讃えて、ここにも稲の道があるよと作者は言っているのだろう。新潟大学で果樹の専門家だったという近藤氏がリンゴやメロンを稔らせるのは分かりやすいが、稲については大変なご苦労があったようである。(鹿取)


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