かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  171

2021-11-26 18:28:17 | 短歌の鑑賞
   ブログ版清見糺鑑賞 25回  罪と罰   
                 鎌倉なぎさの会   報告 鹿取 未放

171 シャリアピンのレコード聴いては浮かべいし大河ヴォルガの水踏みてゆく
                       「かりん」2001年10月号

 かつてシャリアピンのレコードを聴いて、想像し、憧れていた大河ヴォルガ。そこに今自分が立って、その水を踏んでいるよろこびが、ゆったりと歌われている。
 シャリアピンのレコードで聴いていたのは「ヴォルガの舟唄」だろうか?オペラ歌手志望だった作者は、レコードがすり切れるほど聴き、真似して大声で唄っていたそうだ。また、歌声喫茶でも大声を張りあげていたらしい。
 二泊した「ホテルボルガ」から河畔までは歩いて五~六分だった。昼間はヴォルガ川をクルーズもしたが、近いので夜散歩に出た。白夜は過ぎたとはいえ、九時半になってもまだ明るく、日曜日の銀座通りのように賑わっていた。折から三十四度という猛暑で、大勢の人が水浴を楽しんでいた。砂浜もボール遊びをする人やねそべる人、絨毯を洗って岸に干す人などでいっぱいだった。作者はスニーカーも靴下も脱ぎ捨てて、そのヴォルガの浅瀬を歩いていた。ちなみに、一連の中には次の歌もある。

   ゆたかなるシャリアピンの声真似いたる少年の日も昨日のごとし
ヴォルガ河畔の夕日にからだひからせてロシア娘が水を浴びおり

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