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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 13

2025-04-03 19:18:21 | 短歌の鑑賞

2025年度版 渡辺松男研究2の2(2017年7月実施)
 『泡宇宙の蛙』(1999年)【蟹蝙蝠】P14~
  参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:泉 真帆       司会と記録:鹿取未放          


13  鳥のおもさとなりうれば死はやすからん大白檜曾(おおしらびそ)に蒿雀(あおじ)さえずる

 

           (レポート)
 大白檜曾(おおしらびそ)はマツ科モミ族の常緑針葉樹で、栂(つが)ともいう。蒿雀(あおじ)はスズメ目ホオジロ科の鳥で、雀より少し大きい。送り雀(おくりすずめ)という妖怪の鳴き声は、この蒿雀に例えられるそうだ。
 鑑賞としては、上句の「鳥のおもさとなりうれば死はやすからん」に切なさを思う。「鳥のおもさとなりうれば」とは、もしも鳥になれたなら、くらいの意味であろう。人間のようにもがき苦しみ、病と闘いながら終焉を迎えるのではなく、もしも鳥のようになれたら、死はきっと、自然の摂理に順応し、安らかにあるのだろう、と詠っているのではないだろうか。高々と大白檜曾の樹にさえずる蒿雀の声が、耳にひびく。(真帆)


              (当日意見)
★(電子辞書の蒿雀の声を会員に聞いて貰って)蒿雀はこんな声で鳴くそうです。この歌はとても好きな歌です。鳥のおもさと言っていますが鳥は非常に軽いですよね、人間は逆立ちしてもあの軽さにはなれないから、死は苦しい。下の句は木の名前の白と鳥の名前の青が爽やかなイメージで、この歌を変に重くしない、開放感に繋がっているようです。(鹿取)


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