2025年度版 渡辺松男研究2の2(2017年7月実施)
『泡宇宙の蛙』(1999年)【蟹蝙蝠】P14~
参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:泉 真帆 司会と記録:鹿取未放
13 鳥のおもさとなりうれば死はやすからん大白檜曾(おおしらびそ)に蒿雀(あおじ)さえずる
(レポート)
大白檜曾(おおしらびそ)はマツ科モミ族の常緑針葉樹で、栂(つが)ともいう。蒿雀(あおじ)はスズメ目ホオジロ科の鳥で、雀より少し大きい。送り雀(おくりすずめ)という妖怪の鳴き声は、この蒿雀に例えられるそうだ。
鑑賞としては、上句の「鳥のおもさとなりうれば死はやすからん」に切なさを思う。「鳥のおもさとなりうれば」とは、もしも鳥になれたなら、くらいの意味であろう。人間のようにもがき苦しみ、病と闘いながら終焉を迎えるのではなく、もしも鳥のようになれたら、死はきっと、自然の摂理に順応し、安らかにあるのだろう、と詠っているのではないだろうか。高々と大白檜曾の樹にさえずる蒿雀の声が、耳にひびく。(真帆)
(当日意見)
★(電子辞書の蒿雀の声を会員に聞いて貰って)蒿雀はこんな声で鳴くそうです。この歌はとても好きな歌です。鳥のおもさと言っていますが鳥は非常に軽いですよね、人間は逆立ちしてもあの軽さにはなれないから、死は苦しい。下の句は木の名前の白と鳥の名前の青が爽やかなイメージで、この歌を変に重くしない、開放感に繋がっているようです。(鹿取)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます