かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 17

2023-03-28 11:13:59 | 短歌の鑑賞
    2023年度版 渡辺松男研究3
      (13年3月)【地下に還せり】
      『寒気氾濫』(1997年)12~
       参加者:崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
       司会と記録:鹿取 未放


17 樹の抱く闇黒はかりがたけれど栃の実に日はそそいでおりぬ

       (当日意見)
★いろいろあるんだろうけれど栃には実が成り、それに日が照って
 いる。(慧子)
★樹自体は計り知れない暗黒を抱いている。そういう樹の実(とち
 餅にしたりするが、どんぐりなどよりあく抜きに手間がかかるそ
 うだ)に日はさんさんと降り注いでいるんだなあと感動してい
 る。(鹿取)
★人間を樹に託して表現しているのではないか。いろいろあるけど
 いいこともあるよと。(曽我)
★私は逆に好きな栃の木を歌うのがメインだと思う。結果として人
 間もそうだよねということは言えても、人間のことを言いたくて
 栃の樹を出しているのではない。(鹿取)
★暗黒とはどんなものかなと分からないところがある。(曽我)
★具体的に説明しろと言われたらできないけど、作者は目の前の栃
 の樹は暗黒を抱えていて、それははかりがたいと感じている。人
 間とは違うけれど、木は木独自の存在の暗黒を書かれているとい
 うことでしょうかね。(鹿取)

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