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かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

改訂版 渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 29

2022-04-11 14:59:55 | 短歌の鑑賞
※既にアップした『泡宇宙の蛙』2の1~2の5までの鑑賞を大幅に変更した歌について、
改訂版を1首ずつ載せてゆきます。
この後、本日2回目になる通常の鑑賞を載せます。  


  改訂版 渡辺松男研究2の4(2017年9月実施)
    『泡宇宙の蛙』(1999年)【大雨覆】P24~
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、A・Y、鹿取未放
    レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取未放
     

29 やすらぎのなきことを地に庇いあい鳥はひろげる大雨覆(おおあまおおい)

       (レポート)
 *雨覆い…鳥の風切羽(かざきりばね)の根元をおおう短い羽毛。
 渡り鳥、例えば白鳥ならシベリアやオホーツクから休むことなく飛来してくる。ようやく日本の地に着き、いたわり合うように羽をかさね会っているのだろう。(真帆)


        (当日意見) 
★前方からの気流の流れをスムースにする働きが大雨覆にはあるそうです。飛んでいく方は風切羽
 ですね。(A・Y)
★地に庇いあいだから空から降りてきてのことだと思うのですが。(鹿取)
★ヒマラヤとか飛んでいるときは遅れた鳥があっても切り捨てていくといいますよね。だから大変
 だったねって地に着いた時には庇いあう。(真帆)


   (まとめ)
 「やすらぎのなきことを地に庇いあい」がよく分からなかったが、地上には安らぎがない、という意味だろうか。人間の視点で見ていると空を飛ぶときが危険で地上に降りれば安全と思っていたが、26番歌(ひかりより繊きおもいというものを鳥は知りつつ天翔るらん)で見たように、天翔る時は「ひかりより繊きおもい」、つまり神の音調を直観していてむしろ安心している。危険な地上で鳥たちはお互いかばい合って大雨覆を広げるのだ。
大雨覆という魅力的な言葉の実際の役割は何なのか、いろんな説があってよく分からない。様々な意見を簡単にまとめると「大雨覆は揚力を生み出す次列風切を守る役割をしている」ということだろうか。地上でそれを広げるのは、飛ぶとき大いに活躍した大雨覆を広げることで休めているのか。あるいは濡れたのを干しているのだろうか。(鹿取)


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