![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/fb/01170a191d9070a628ce64f8488da51e.jpg)
手違いで、画像だけ載せてしまい、すみません。
疲れと、ビールの酔いで朦朧としていたのも言い訳である。
さて、「梅里雪山」(ヤマケイ文庫・小林尚礼著)である。
前から読みたいと思っていたが、機会を逸していた。
それをヤマケイさんが文庫化してくれたのだから、感謝感謝。
梅里雪山で大量17名の遭難が伝えられた翌月(2月5日)、Mr.Dashは
ドカ雪直後の京都北山の山中で単独、ラッセルに苦しんでいた。
もがいても、もがいても、なかなか前に進めない。
引き返そうにも、ラッセルしたはずの軌跡は嘘のように消えかけており、
どのみち消耗戦は覚悟せねばならない。100m進むのに1時間かかった。
これを3~4時間、一人で休みなしにやり続けたのだから、若かった。
頑張れた背景に、記憶に新しい梅里雪山の「遭難」の報道があった。
自分はこんなトコロで死ねない。
著者の小林さんは、遺体捜索のため、単身、ふもとの村に長期滞在する。
地元の人たちにとって、梅里雪山=カワカブは、信仰の山。
反感をおして山に登り、そして遭難した日本人に対する風当たりは強い。
その中、著者の誠実で、懸命な捜索活動が、村人達の心を開いていく。
やがて著者は、カワカブ巡礼の旅に出る。
その長くつらい旅の中で、地元の人たちにとってのカワカブの
存在の大きさを理解していく。
山は、頂上を征服するためにのみ、存在するものではない。
カワカブは、そのことを教えてくれる。
実は、Mr.Dashの住む奈良県にも、そのものがご神体という山がある。
三輪山。そうめんで有名な、桜井市の三輪。
日本最古の神社、大神神社(おおみわじんじゃ)が登山口。
ここは入山料を支払い、白いタスキをかけて、登ることになる。
山頂から先に抜けていくのは禁止。必ず、もとの社務所に帰ること。
そして、写真撮影は一切禁止だ。
カワカブとは山のスケールが全く違うが、似た空気を感じる。
茶化すわけではないが、この山に、某岳友夫妻が登ったとき、
「別にええやん」と軽い気持ちでデジカメのシャッターを切ったら、
白い煙のような影が映るのみでまともな写真が撮れなかったばかりか、
足が攣ってしまったというから、なめてはいけない。
やはり何かが宿る山は現存し、私たちはその山を尊重しなければならない。