治療室cureでのオステオパシー、つまり私の施術するオステオパシーは、かなり緩やかな力を使い施術をしています。
殆んど触れている様にしか感じられない、柔らかく優しい力です。
ですから強く圧される整体や、急速な力を加えていく治療に慣れている方々には、何だか頼り無いくらいに感じるかも知れません。
優しく正確に骨に触れて、骨の周りに付着している靭帯を、生理学的に必要最低限の力を使い、時間を掛けて緩めていきます。
一つの椎骨の矯正だけでも、かなりじっくりと時間が掛かります。
骨の周りの靭帯が緩む事で、骨が正常な可動域を取り戻していき、骨格が整っていく様にしているんですね。
そして骨格を整う事によって、血流や神経伝達が促されていき、身体が自ら不調を改善していこうとする力、自然治癒力を最大限に発揮出来る様にしていくんです。
最低限の力で、最大限の効果を。
患者さんの肉体に負担の掛からない施術を。
これが治療室cureでのオステオパシー施術の、根本的な哲学になっています。
オステオパシーというのは、アメリカの医師スティル博士が研究・開発した技術ですが、スティル博士はオステオパシーを開発するきっかけとして、日本の骨格矯正方法に出会ったという説もあります。
その出会いがアイデアとなり、オステオパシーが生まれたのだそうです。
そう考えると100年の時を経て、現在また日本に戻って来ているとも云えます。
そして日本のオステオパシー治療の先達が、それをまた30年掛けて日本人の体質に合わせ、日本独自のオステオパシーを研鑽してきてくれました。
日本人は昔から、按摩や指圧の刺激の好きな国民だった様で、既に江戸時代の文献には、その足跡が記されています。
按摩や指圧の刺激というのは、指や掌や肘などの圧力によって、疲労した筋肉に溜まる乳酸を分解したり、血行を促進したりするのが主な効果です。
ツボを圧している様な場合もありますが、厳密なツボは鍼でないと正確には刺激出来ないそうです。
蟻の巣の穴より小さな人体のツボは、指の太さは入ってゆかない。
蟻の巣の穴を指で圧して、その下の巣こど埋めてしまう状態で、ツボを介して大まかに、その下の筋肉組織を解していく。
その刺激には快楽性があり(痛気持ち良い)、それが日本人の好みだったとの事です。
日本のオステオパシー治療の先人達は、オステオパシーの原理に則した、その圧刺激に慣れ慢性的な筋肉拘縮を起こしている身体に適応する、日本のオステオパシーを開発してきました。
強い圧刺激を継続的に受けてきて、硬くなっている身体を、同じ様に強い圧で施術をしても、それはオステオパシーの原理に則していない。
「患者さんを傷つけない」
力に力で対抗する様な施術ではなく、限り無く圧力を掛けない施術方法。
オステオパシーの手技の中で一番緩やかな施術法である頭蓋骨矯正の手法を、全身の骨格に適応する様に改整していった技術が、治療室cureのオステオパシーになっています。
触れているだけの様な治療室cureのオステオパシーの施術ですが、しっかりと骨の調整はしています。
身体を傷つけない様に、骨格・全身を調整していきますが、不調期間が長年に渡る方等は、触れているだけの様な施術でも、骨が調整された時に起こる反応で、2~3日全身に倦怠感が起こったり、神経が過敏に反応している様な感覚を感じたりします。
長年の蓄積された老廃物が流れ出したり、閉ざされていた神経の経路が開いたり、血流が活発になる事で、引き起こされる症状です。
身体自ら「治ろう」という状態の準備を始めるのですね。
継続的に2~3回受けて頂く事で、その自然治癒力を安定させていく事になります。
治療室cureのオステオパシーは、そういう意味では「和製オステオパシー」であって、本番アメリカの最新のオステオパシー技術ではありません。
しかし私は、この「和製オステオパシー」がとても気に入っています。
施術者としての自分の性格に、とても合っていると思っています。
力で圧していく様な施術は、自己主張の強い施術者に合っています。
私の様な性格の人間には、僅かな力で患者さんの身体を傷つけずに、筋膜や靭帯が緩んでいくのを待つ、患者さんの身体に追随していく様な施術が合っています。
日本人の性質である「和の精神」を体現している様な施術理論は、老若男女どんな方にも安心して受けて頂けるものであると思います。