オステオパシーの創始者であるA.T.スティル博士は、オステオパシーの治療師はある種のエンジニアみたいなものであると考えていたようです。
人体という精密なマシーン、それも自然の摂理の中から育まれたこの緻密なマシーンを修理し、しっかりと動くように、万全に機能するような状態に戻すのが、オステオパシーの治療師の仕事であると云っています。
「オステオパシーの術者になるためには、人体の正確な構成、全ての骨、神経、繊維、筋肉、器官の正確な位置、全ての体液の循環経路、そしてそれ等の相互関係性、更に、それ等が生命を維持するために果たしている役割、機能の全てを正確に知らなければならない。
更に、体のどこで障害が生じ、正常な運動が妨げられているかを、生命のグランドデザインに照らし合わせて判断する能力も必要になる。
そして、どこに異常があるかを判断する能力だけでなく、それを取り除くための能力も必要である。」
「私は人体(人間)を、一つの機械として学んだ。私はエンジニアなのである。」
「人間は、全ての被造物の中で最も複雑で繊細な構造を持つ機械である。オステオパシーの術者は、この機械に習熟しなければならない。」
「骨を調整する機械工・オステオパシー術者は、３つの原理を守らなくてはならない。それらの原理は、梃・螺・楔に象徴される。」
「機械工たるオステオパシー術者は、自然は批評家として存在し、我々の仕事に対し“イエス”“ノー”の評価を下す、ということを忘れてはならない。人体の全ての部品の正常な構造とその正常な機能を、心の目で見ていかなければならない。さもなくば、全ての治療は失敗する。」
これは決して、人体を機械のように扱うという意味、マシーンのような無機質なものとして考えているという事ではないというは、最後の言葉からも判る。
人体は人間の造り出した機械などではなく、大自然から生まれたものであり、我々もそれに従うべきであるとの考えが、オステオパシーの哲学の根底には流れています。