雨の日にはJAZZを聴きながら

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Perico Sambeat 『 Ziribuye 』

2007年08月02日 20時50分54秒 | JAZZ


ペリコ・サンビートの話が出た序でに、彼の作品を少しばかり紹介しよう。サンビートの最新作はジャヴィエル・コリナ(b)、マーク・ミラルタ(ds)、そしてサンビートの3人共同名義での『 Trio 』(2007年 Karonte KAR7798)だが、サックス・トリオが苦手な僕は購入していない。サンビートを語る際、引き合いによくケニー・ギャレットの名前が出されるが、ギャレットぐらいの技量があればサックス・トリオというフォーマットでも素晴らしい作品に仕上げられるが(『 Triology 』など)、サンビートにはそこまでの力量が正直ない。やはり彼にはカルテット以上のフォーマットでの作品が似合う。という訳でまずは昨年 Karonte から発売された『 Ziribuye』。目下、僕の一番の愛聴盤である。ペリコ・サンビート(as)、レイナルド・コロム(tp)、トニ・ベレンゲール(tb)の3管編成で、全体に斬新な展開を持つ脱4ビート路線で、ラテンあり、エレクトロニカあり、ヴォーカル物ありと色彩感豊かな彼のオリジナル曲で構成されている。1曲だけ参加している透明感のある無垢な歌声のヴォーカル、エルマ・サンビートは奥様かもしれない。現代の若手アルティストを評価する際、ケニー・ギャレットとの距離感が物差しに用いられることが多いが、その点ではサンビートはギャレットの相似形と言ってもよいかもしれない。しかし、ケニー・ギャレットに非常に近似していると感じる曲もあれば、全く類似点を見ないスタイルでブローする曲もある。単なるギャレットの縮小コピー版ではないサンビートの持ち味というものが確実にあり、そこに魅了される。ところで、トランペットのレイナルド・コラムは初耳だが、これがなかなか上手い。検索してみたところFSNTから一枚だけだがリーダー作を出している。そういえばこのジャケットは見たことがある。中古で捨てられていたら拾っても損はないかもしれない。


ペリコ・サンビートは
1993年にブラッド・メルドー・トリオをバックにバルセロナのライブハウス“ JAMBOREE ”で録音を行っている。その記録は『 New York – Barcelona Crossing 』全2集(前項あり)としてFSNTに残されているが、その録音から10年後の2003年に、今度はサンビートがニューヨークに赴き、メルドー、カート・ローゼンウィンケル、ベン・ストリート、ジェフ・バラードらと制作したのが『 Friendship 』(ACT)である。これも非常に出来が良い。『 New York – Barcelona Crossing 』ではどうしても閃き立ったメルドーのピアノに耳が奪われ、垢抜けないサンビートのアルトがどうもチグハクに感じられたが、10年の月日を経て、その土臭さは払拭され、メルドーやローゼンウィンケルにも比肩するコンテンポラリーな都会的な感性を身に着けた。ちょうどマーク・ターナーのテナーのフレーズをアルトに置き換えたようなウネウネした捩れ具合が心地よく響く。


リーダー作ではないが、サンビート客演の極めつけの作品に、ポルトガルのピアニスト、ロドリーゴ・ゴンザルベスの『
Tribology 』がある。マーク・ターナーも参加したこの作品は哀愁とスリルが漲る美旋律に出会える佳作である。

上記以外では、2000年にLora Records から発売された『 Perico 』や、1995年にFSNTから発売された『 Ademuz 』などの出来が良い。まだ未所有の作品も数枚あり、収集欲を掻き立てられるが、特に、例の『レア盤・廃盤~』に掲載されてしまった『 Dual Force, live at Ronnie Scotts 』はマニア垂涎の一枚だ。

 


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