リー・モーガンのヒット作『 The Sidewinder 』にはジョー・ヘンダーソン,名作『 Cornbread 』にはハンク・モブレー。リー・モーガンの超絶技巧の派手なフレーズの影に,カウンターバランスをとるかのように朴訥とした表情を見せるジョー・ヘンダーソンやハンク・モブレー。金管楽器と木管楽器のコントラストはたとえるならば“明”と“暗”,“高”と“低”,“鋭”と“鈍”,そして“主”と“従”。あくまで主役花形はラッパであり,笛はラッパを支える女房役であるわけですね。
イタリアの新進気鋭のThe Young Lions ,High Five Quintet の醍醐味のひとつに,この金管(ボッソ)と木管(スカナピエオコ)のカウンタータイプの繰り成す音響的な面白みや多彩なハーモニーの美しさがあるのではないでしょうか。あまりにも突出した強烈なアイデンティティーを有するファブリツィオ・ボッソだけでは,あれほどファンキーで楽しいジャズは生まれてこなかったであろうことは,その後の彼のワン・ホーン作品の出来栄えが証明しています。スピード感抜群でキュートで超絶技巧なボッソと,野太い滑らかなトーンで優しく包み込むスカナピエコの2人の邂逅があってはじめてあの傑作が生まれたのでしょう。
という訳で,前回のHigh Five Quintet 絡みでもう一枚,聴いてみましょう。新作ではないのですが僕の密かな愛聴盤である Daniele Scannapieco (ダニエル・スカナピエコ)( ts & ss )のデビュー作『 Daniele Scannapieco 』( 2002 night & day )です。彼のリーダー作は今のところ本作と『 Never More 』( 2004 VVJ )(前項あり)の2枚しかありません。ボッソが既にリーダー作やサイドを含め,大量の録音を世に送り出しているのに比べると何とも寂しい限りです。
このデビュー作,まず目を引くのがそのメンバーです。ボッソ,バティスタ,レニーニ,ウマチェカと,最強布陣で制作されています。うぉ~,これは ボッソ=バティスタ=スカナピエコ の夢の3管フロント実現か~,と興奮しますが,実はバティスタは1曲のみ参加でしかもその曲《 Deja-Vu 》ではボッソがお休みだったりして,結局,夢の3管フロントは1曲もありません。一方,ボッソは全11曲中5曲( M-2,3,4,7,10 )に参加。 『 Never More 』では2曲しか吹いていませんでしたから,その点は大健闘でしょう。楽曲はメンバー各人の持ち込み曲で,おそらく大体は本作への書き下ろしかと思われますが,M-3 《 Magic Boltro 》はエリック・レニーニがフラビオ・ボルトロのリーダー作『 40°』に参加した際,書き下ろした曲ですし,M-7 《 Funny Moon 》もレニーニが今度はステファノ・ディ・バティスタの『 A Prima Vista 』に参加した際に書き下ろした曲です。でもども曲も何処かで聴いたことあるような,ないような。
全体にHigh Five Quintet のような派手でキャッチーな曲は少なめですが,その分,ボッソもスカナピエコも丁寧に構築されたアドリブ・ラインを披露してくれて,知らず知らずのうちに惹き込まれてしまいます。また,チェカレリの多彩な小ワザを随所に挟み込みながら,時にドラマティックに,時にロマンティックに場を盛り上げるその手腕には,やっぱり流石。ロレンツォ・トゥッチとは一味も二味も違うな~と感心させられます。
最初は幾分地味な印象を受けるかもしれませんが,聴きこむうちにジワジワと沁み込んでくる秀作です。あまり流通量が多くないと思いますので,見つけ次第ゲットがよろしいかと。
Daniele Scannapieco 『 Daniele Scannapieco 』2002 night & day
Daniele Scannapieco ( ts & ss )
Fabrizio Bosso ( tp )
Stefano Di Battista ( ss )
Eric Legnini ( p )
Dario Rosciglione ( b )
Andre Ceccarelli (ds )
イタリアの新進気鋭のThe Young Lions ,High Five Quintet の醍醐味のひとつに,この金管(ボッソ)と木管(スカナピエオコ)のカウンタータイプの繰り成す音響的な面白みや多彩なハーモニーの美しさがあるのではないでしょうか。あまりにも突出した強烈なアイデンティティーを有するファブリツィオ・ボッソだけでは,あれほどファンキーで楽しいジャズは生まれてこなかったであろうことは,その後の彼のワン・ホーン作品の出来栄えが証明しています。スピード感抜群でキュートで超絶技巧なボッソと,野太い滑らかなトーンで優しく包み込むスカナピエコの2人の邂逅があってはじめてあの傑作が生まれたのでしょう。
という訳で,前回のHigh Five Quintet 絡みでもう一枚,聴いてみましょう。新作ではないのですが僕の密かな愛聴盤である Daniele Scannapieco (ダニエル・スカナピエコ)( ts & ss )のデビュー作『 Daniele Scannapieco 』( 2002 night & day )です。彼のリーダー作は今のところ本作と『 Never More 』( 2004 VVJ )(前項あり)の2枚しかありません。ボッソが既にリーダー作やサイドを含め,大量の録音を世に送り出しているのに比べると何とも寂しい限りです。
このデビュー作,まず目を引くのがそのメンバーです。ボッソ,バティスタ,レニーニ,ウマチェカと,最強布陣で制作されています。うぉ~,これは ボッソ=バティスタ=スカナピエコ の夢の3管フロント実現か~,と興奮しますが,実はバティスタは1曲のみ参加でしかもその曲《 Deja-Vu 》ではボッソがお休みだったりして,結局,夢の3管フロントは1曲もありません。一方,ボッソは全11曲中5曲( M-2,3,4,7,10 )に参加。 『 Never More 』では2曲しか吹いていませんでしたから,その点は大健闘でしょう。楽曲はメンバー各人の持ち込み曲で,おそらく大体は本作への書き下ろしかと思われますが,M-3 《 Magic Boltro 》はエリック・レニーニがフラビオ・ボルトロのリーダー作『 40°』に参加した際,書き下ろした曲ですし,M-7 《 Funny Moon 》もレニーニが今度はステファノ・ディ・バティスタの『 A Prima Vista 』に参加した際に書き下ろした曲です。でもども曲も何処かで聴いたことあるような,ないような。
全体にHigh Five Quintet のような派手でキャッチーな曲は少なめですが,その分,ボッソもスカナピエコも丁寧に構築されたアドリブ・ラインを披露してくれて,知らず知らずのうちに惹き込まれてしまいます。また,チェカレリの多彩な小ワザを随所に挟み込みながら,時にドラマティックに,時にロマンティックに場を盛り上げるその手腕には,やっぱり流石。ロレンツォ・トゥッチとは一味も二味も違うな~と感心させられます。
最初は幾分地味な印象を受けるかもしれませんが,聴きこむうちにジワジワと沁み込んでくる秀作です。あまり流通量が多くないと思いますので,見つけ次第ゲットがよろしいかと。
Daniele Scannapieco 『 Daniele Scannapieco 』2002 night & day
Daniele Scannapieco ( ts & ss )
Fabrizio Bosso ( tp )
Stefano Di Battista ( ss )
Eric Legnini ( p )
Dario Rosciglione ( b )
Andre Ceccarelli (ds )
これは私も愛聴盤にしとります。ウマチェカ参加ですもの♪
仰るようにBOSSO関連作品がたくさん出ていますが、たくさんあり過ぎてどれがええのやら...ということで、最近は手を出していません(^_^;)
High Five Quintetで新作出ぇへんかな~と期待しているのですが。
> でもども曲も何処かで聴いたことあるような,ないような。
もう一曲、「DEDE'S MOOD」は、ドラマーLORENZO TUCCIのリーダー作「SWEET REVELATION」(こっちのほうがわずかに早く録音されている)に入っていますね。
ところで今回,この記事を書くにあたり,GoogleでDaniele Scannapieco を検索したのですが,なんと僕の記事がトップに来ていてびっくりしました。そして更に3番目にはアーティチョークさんの記事がきていました。それ以外はほとんどショップの広告記事ばかりで,一般人がスカナピエコを取り上げることなど皆無なんですね。日本では僕とアーティチョークさんの二人だけだったりして(笑)。
>「DEDE'S MOOD」は、ドラマーLORENZO TUCCIのリーダー作「SWEET REVELATION」(こっちのほうがわずかに早く録音されている)に入っていますね。
そうでしたか。僕はこのCD持ってないので,こんどチェックしておきます。
そろそろHFQの新作も聴きたいですよね~。
いや~,でも,ボッソの参加作品,多くなってきましたよね。
次々出てますよ。スタジオ系ミュージシャン並みの多さです。
なんか、コバンザメめいたいだなぁ。。
で、私もこの盤好きでーーす。
世界検索、一位と三位の御利益にあやかって、
昔、このアルバムの事を独り言してた日記がありますのでトラバしちゃいます。
当時は、CDのレビューみたいなものを書くつもりは全然なくて、自分の聴いてるものをななんとなく書いていただけなのですが。
とりあえず、もうひとり、ふたり、、DANIELE SCANNAPIECOのアルバムが好きなヤツがいるって、ことで。
私はDANIELE SCANNAPIECOの空気感みたいなのが好きです。
今朝、久しぶりにかけたんですけど、その次の盤はボッソでなくて、バティスタにいってしまいました。
それ以来、参加作は出来るだけ、耳を通すようにしていますが、そろそろリーダー作、ワンホーンカルテットでリリースして欲しいですね。
この「Sweet Revelation」では、ショーター曲、2曲演っているんで、愛聴盤です。
ブログはじめた頃に、アップしたくらい。
Tucciも久々の新作出しますが、ボッソの参加したトリオでのモンク集のようです。
さて、スカナピエコ、ロベルトガットカルテットでブルーノート決定ですね。嬉しすぎます。
個人的にはダドモロニも、愛聴しているので楽しみです。
ロザリオボナコルソは確かエンリコラバ振りの来日かな?
たぶん、満席にならないから、余裕で見れますよ。
新作の「Lifetime」でノックアウトされたので、旧作を探していたのですが、偶然にも本作を中古で見つけ、早速買ってきました。
いや~、これも燻し銀のような秀作ですね。
二作目も探そう~っと!!
naryさんは前作の印象があまり良くなかったって言ってましたが、僕としては、3作品とも等価です。どれも秀作です。ぜひ、探してみて下さい。
そうそう、Martyさんの「lifetime」の8曲目も最後のテーマ部で右チャンネルが2,3秒、音が途切れますか?
>そうそう、Martyさんの「lifetime」の8曲目も最後のテーマ部で右チャンネルが2,3秒、音が途切れますか?
私も最初聞いた時は単なる音飛びか?と思ってましたが、やはりそうなんですね。5分15秒過ぎ位ですよね?確かに右だけ途切れます。
今日はクリスさんお勧めのDavid El-Malek「talking cure」と前から欲しかった David Murray「For Aunt Loise」を購入しました。
やっぱり音消えます。
マスターの問題なら仕方ありません。
でも、ちょっとお粗末ですね。
>今日はクリスさんお勧めのDavid El-Malek「talking cure」と前から欲しかった David Murray「For Aunt Loise」を購入しました。
よく覚えていらっしゃいますね。書いた本人が忘れてしまってましたが(笑)。
エルマレク、ベトゥマン、ビジョーロ、アギュロン、と今、思うと凄いメンバーですよね。
デビッド・マレイのこれも、彼の作品の中ではわかりやすい作品でしたよね。昔、聴いたけど、今は手元にありませんが。実家の段ボールのどれかにはいったままですわ。