雨の日にはJAZZを聴きながら

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2007年極私的愛聴盤20選(新譜)

2007年12月26日 23時24分38秒 | JAZZ
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左上から右下に向って

1) Simona Premazzi / Looking for An Exit
ミラノ出身で現在はニューヨークで活躍中の女性ピアニスト,シーモナ・プレマッツィのデビュー作。イタリア独特の叙情的ジャズ手法とアメリカのアンダーグラウンド的先進性が融合した不思議な世界の中で響く,低音を強調した強力な左手の重厚なコード感と音間の跳躍の激しい奇抜な右手のライン。そして微妙に揺らぐ独特のタイム感。アリ・ホーニグとジョー・サンダースのブルックリン派のサポートも魅力的です。

2) Tigran Hamasyan / New Era
アルメニア共和国出身の若干20歳のティグラン・ハマシャンの『 World Passion 』(2006)に続く第二弾。今回はムタン兄弟の最強リズム隊がサポート。昨年のセロニアス・モンク・コンペティションで優勝している実力の持ち主です。アントニオ・ファラオあたりを彷彿させる疾走感のある超絶技巧派。

3) Mariano Diaz / Plan B
マドリッドを中心に活躍しているピアニスト,マリアーノ・ディアスのデビュー作。ペリコ・サンビートやOAM Trio のマーク・ミラルタが参加しているのに惹かれて購入したらこれが大当たり。ディアズのオリジナル曲はどれも硬質で都会的な機微に富んだ楽曲だが、とりわけ1曲目の疾走感抜群のモーダル楽曲≪ Zuco de laranja ≫が白眉だ。ペリコ・サンビートも激情的に吹きまくり否応なしに高揚感が高まる秀作。

4) Evgeny Lebedev / Fall
1984年モスクワ生まれのピアニスト、エヴジェニー・レベデフの2005年録音のデビュー盤。スパルタニズムなロシア音楽教育で鍛え上げられた強靭な左手から繰り出されるソリッドなリフに乗せて始まる冒頭の≪ Footprints ≫が圧巻。若い世代だからこそ生まれ得るポップな語法に満ち溢れた作曲能力も素晴らしく、特に,陰影深く夢幻的な美しさを纏った抒情的バラード・プレイは20歳そこそこの少年が紡いでいるとは俄かに信じられません。

5) Kiyoshi Kitagawa / I'm Still Here
ピアノがケニー・バロンからダニー・グリセットに交代して,より都会的で知的なトリオ・サウンドになった。個人的には本作が北川潔のベスト。

6) Hadrien Feraud / Hadrien Feraud
今話題のフランス人ベーシスト,アドリアン・フェローのデビュー作。馬鹿テク好きにはたまらない一枚かも。昔,ジャコのコピーは必死にトライしたが,アドリアン・フェローはコピーする気も起きない。ただただ唖然。やや楽曲としてはおもしろみに欠けるのが唯一の難点。

7) Avishai Cohen / As Is...Live at The Blue Note
アヴィシャイ・コーエンの通算8枚目の新作。今回はCD&DVDの2枚組で,CDには全7曲が収録され,最後の ≪ Caravan ≫ 以外は全て旧作に収められていた彼のオリジナル曲。コーエン・ファンには馴染みの美曲揃い。一方、DVDの方は全7曲で、その内4曲はCDに収められた曲と同曲、同バージョン。3曲にジミー・グリーンが参加している。

8) Andrea Sabatino / Pure Soul
1981年,イタリアのガラティーナ生まれのトランぺッター,アンドレア・サバティーノのデビュー作。3曲でファブリツィオ・ボッソが客演しているが,ボッソ参加という付加価値を抜きにしても素晴らしいファンキー・ハード・バップ作品だ。

9) Bert Joris / Magone
ブリュッセル・ジャズ・オーケストラで有名なベルギーを代表するベテラン・トランぺッター,バート・ジョリスの最新作。フランコ・アンブロゼッティを彷彿させる気品に満ちあふれた優雅な演奏。そのアンブロゼッティとも共演歴の長いダト・モロニが本作にも参加。モロニの切れ味鋭い技巧的プレイも凄い。

10) Michael Brecker / Pilgrimage
マイケル・ブレッカー伝説の最終章にして,彼の最高傑作。死を目前に自覚しながら,何故,これほどまでに研ぎ澄まされた精神を維持できるのか。凄まじい集中力で書き上げたエピタフがここにある。

11) Chris Potter / Follow The Red Line
クリス・ポッターの最新作は2枚同時発売。一枚は管楽器、弦楽器、リズム隊からなる10人編成のラージ・アンサンブル作品の『 Song For Anyone 』。そしてもう一枚は前作『 Underground 』と同メンバーによるライブ盤『 Follow The Red Line 』。どちらがイイなんて言えない。今日は『 Song For Anyone 』を聴いて,明日は『 Follow The Red Line 』を聴く。変な所へ飛んで行き、翻って捻じれ捻じれて戻ってくる、いわばメビウスの輪のようなクリポタのアドリブ・ライン。もうめちゃくちゃカッコいい。

12) Chick Corea / Five Trios Series No.4
先日,ついに6枚組ボックス・セットが発売させてしまった。一枚づつ買って来た僕は当然,ボックスセットは買えない。本当はボックス・セットに入っているアドリアン・フェロー,リッチー・バーシェイ参加の5枚目が一番聴きたいのに。No.4はエディー・ゴメスとアイアート・モレイアのトリオで,アイアートのパーカッションとボーカルがフィーチャーされた異色作。ラテン度高く一番のお気に入りだ。

13) Simon Spillett / Introducing
1974年イングランド生まれのテナー・サックス奏者,サイモン・スピレットのデビュー作。Bebopの常套句をこれでもかというくらい超高速で連発し,アドリブを作り上げるタイプ。古い言語なのに巧いからおもしろい。まさに半世紀の時空を超えて現代に蘇ったタビー・ヘイズ,と言ったところか。

14) Jimmy Greene / Gifts and Givers
ニューヨーク・ジャズ・シーンの今を伝える超豪華メンバーが集結したジミー・グリーンのcriss cross 最新盤。マーカス・ストリックランドに挑発されてジミーもいつもより捩れ度高し。2人揃ってウネウネと気持ちのよいアドリブを披露。コルトレーンのM-5≪26-2≫は、超難解なためコルトレーン自身も上手に演奏できず,彼の死後「The Coltrane Legacy 」(Atlantic)に収められた難曲。最近はSF Jazz Collective やフレデリク・クロンクヴィストなど、若手ミュージシャンも取り上げており、隠れたコルトレーンの名曲。

15) Nils Wogram and The NDR Bigband / Portrait of a Band
ドイツ人トロンボーン奏者、ニルス・ワグラムが、ドイツの4大公共放送局ビッグバンドの一つ、NDR(北ドイツ放送協会)ビッグバンドと共演した作品。盟友サイモン・ナバトフも参加し、非常にバラエティーに富んだ現代的ビッグバンド作品に仕上がっている。音は爆発的で強烈なので、許す限るり大音量で聴ければトリップ感が得られるはず。

16) Maria Schneider Orchestra / Sky Blue
マリア・シュナイダー・オーケストラの通算6作目となるスタジオ録音盤。 非常に優雅で微妙に揺らぎながらドラマティックに展開する楽曲はいつもながら感心させられる。オーセンティックなビッグ・バンド・ジャズのような高揚感は得られないが、爽やかなそよ風に優しく頬を撫でられたような余韻を残してくれる素晴らしい作品。

17) Di Mezzo Il Mare / Di Germano Mazzocchetti
イタリア人作曲家 Germano Mazzocchetti の書いた組曲を、エンリコ・ピエラヌンツィ、ピエトロ・トノロ、ガブリエラ・ミラバッシ等、EGEA レーベルの売れっ子達10名のラージ・アンサンブル集団が演奏した豪華盤。地中海の潮の香りをたっぷり含んだ、爽やかでエレガントな楽曲。EGEAサウンドの真髄が味わえる超名盤。

18) Baptiste Trotignon - David El Malek / Fool Time
19) Los Angeles Jazz Ensemble / Expectation
20) Mike Moreno / Between The Lines