雨の日にはJAZZを聴きながら

FC2 に引越しました。http://jazzlab.blog67.fc2.com/

Mario Biondi & the High Five Quintet @ Blue Note

2007年12月18日 21時42分29秒 | ライブ
ブログもご覧ください。

12月14日(金)に, Mario Biondi and The High Five Quintet のライブをBlue Note Tokyo に観に行ってきました。

正直なところ、直前まで観に行くかどうか迷っていました。今年の確か6月に舞浜イクスピアリにファブリツィオ・ボッソが来たときも、DJ須永辰緒氏の『 夜ジャズライブ 』というDJイベントの一環での来日だったので結局行きませんでしたが、今回も主役はマリオ・ビオンディであり、High Five Quintet はあくまでバック・バンドとしての来日でしたので、あまり気が進まなかったのです。がしかし、今、どうしても、どんな形でも、ボッソとスカナピエコをこの目で見ておきたいと思い、前日に予約を入れたというわけです。

願いはただ一つ。マリオ・ビオンディ抜きでのHigh Five Quintet の演奏が一曲でも多く観られますように、ということ。

僕が観たのは9時30分からの2nd stage。いつも開演ぎりぎりに入店するので,僕が座る席は決まって隅のほう。その日もステージ向かって左奥の,ちょうどPAの後方。ステージを左真横から観る位置。でもこの席、結構気に入っているんです。PAの手元がよく見えるからね。PAはいつもの若い女の子。客席は満席状態。マリオ・ビオンディのライブということもあり,クラブ好きのおしゃれな若者ばかりだったらどうしようと心配しいましたが,意外に僕のようなオジさん連中も散見され,ちょっと安心。

さあ、ライブの始まりです。拍手に迎えられてHigh Five Quintet のメンバーがステージに上がります。おっと、主役のマリオ・ビオンディが登場しません。徐にHigh Five Quintet だけでのハードバビッシュな演奏がはじまりました。のっけからフルスロットルでぐんぐん飛ばします。これはいい出だしです。スカナピエコのソロが凄くイイ。カッコいい。でもそのあとのボッソのソロがもっとイイ。ボッソは有無を言わさぬ存在感と説得力をもっているんです。スカナピエコだって相当上手いのに,そんな彼の存在が薄れてしまうほど,ボッソの存在感は絶大です。4小節ぐらいなら軽々とノン・ブレスで超高速パッセージを繰り出し,そのあとに切れ味鋭いタンギング・フレーズでアクセントをつけ,縦横無尽に駆け巡る。いや~、CDで聴くよりはるかに野性的なんですね、ボッソって。痺れる~。

2曲目は一転して美しいメロディーの地中海風バラードです。ボッソとスカナピエコがテーマを吹き分けます。クールダウンしたところで3曲目は彼らのオリジナル曲 ≪ Five For Fun ≫ 。BN4000番台リー・モーガン風のジャズ・ロック・スタイルの軽快な曲です。このあたりは、マリオ・ビオンディ目当てで来店したクラブ・ジャズ・ファンを意識した選曲でしょうか。まさに≪ 踊れるジャズ ≫ です。3曲目の終盤になり、やっとマリオ・ビオンディがステージに登場です。割れんばかりの拍手。やっぱりマリオ目当ての観客が大多数なのでしょうね。クラブ・ジャズ系の方々からすると、ボッソなんかは≪ マリオ・ビオンディといっしょに演ってる上手いトランペッター ≫ という位置づけですからね。

このマリオ・ビオンディという大男。71年生まれの37歳。歌いだしたのが33歳の時と言うからまだ4年程しか芸歴がないのに,このデビュー作『 Handful of Soul 』(前項あり)でイタリア国内で10万枚も売れたそうです。純ジャズ・ヴォーカルでもないし,どちらかというとソウルやAOR領域にいそうな声質,歌唱法なのです。そんな彼、なんとなく胡散臭さを感じでしまうのは僕だけでしょうかね。そんなわけで,始めから眉に唾をつけて聴き出したのですが,これが意外に心地よいのです。

AORでいうとクリス・レア。ソウルでいうとテディ・ペンダーグラスあたりを彷彿させるセクシーな濁声で、どことなくダニー・ハザウェイに歌い方がにているかもしれません。クラブ・ジャズ系の方々はこういうのを≪ 激渋・ヴォーカル≫ というのでしょうかね、わかりませんが。ただ,冷静に聴くと,それほど歌唱力があるわけでもないようです。もしかしたら一発屋で終わってしまうかもしれない?

マリオが歌いだした4曲目以降の曲名は以下の通りです。すべて『 Handful of Soul 』からの選曲です。Blue Note Tokyo のホームページにも当日の演奏リストがアップされていますが、たぶん間違っていると思います。以下のリストが正解です。

4. RIO DE JANEIRO
5. NO MERCY FOR ME
6. THIS IS WHAT YOU ARE
7. I’M HER DADDY
8. HANDFUL OF SOUL
9. ON A CLEAR DAY
10. NEVER DIE
ENCORE
11. SLOW HOT WIND
12. THIS IS WHAT YOU ARE

High Five Quintet だけでの最初の3曲中、曲名が分かったのは3曲目の
オリジナル曲 ≪ Five For Fun ≫ だけでした。スカナピエコがイタリア訛りで曲紹介したのですが、1曲目と2曲目は聞きとれませんでした。イタリア人の曲みたいなこと言っていたような、いないような。

マリオ・ビオンディの曲でもボッソのソロはかなりフィーチャーされていましたので、ボッソ・ファンも最後まで飽きずに楽しめたと思います。ホント、ボッソはCDで聴くより凄かったです。あんなに吹きまくって腹筋が割れないのか? 肺に穴があいて気胸にならないのか? 酸欠でぶっ倒れないのか? そんな心配を他所にこれでもかと言わんばかりに吹きまくってくれました。感謝感激であります。

最後のアンコール曲が終わり、メンバーがPAの女の子の脇を通ってステージを降りる際、(いいですかここが大切なのですが)ボッソとスカナピエコとマンヌッツァの3人は、そのPAの女性に頭を下げてお礼の言葉をかけているんですね。これには胸が熱くなりました。あれだけビッグ・スターになっても、スタッフへの感謝を忘れない、その真摯な姿勢に感激してしまいました。イイ奴らなんですよ、きっと。

CDでは決して味わえない高揚感に満ち溢れたライブでした。このところ仕事に忙殺され、日々、憂鬱な思いが蓄積していたのですが、そんな陰鬱さもすっきり中和し、心地よい充実感までも体感できた素晴らしいライブでした。

次回、来日の際は、ぜひ High Five Quintet 単独でお願いしますね。