雨の日にはJAZZを聴きながら

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UGETSU 『 Live At The Cellar 』

2006年04月16日 17時27分54秒 | JAZZ

ドイツ人のベーシスト,マーチン・ゼンカー(Martin Zenker )が中心となって1996年に結成されたUGETSUというバンドがあります。バンド名の由来はご存知,アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズのRiversideに残した傑作『 UGETSU 』からとったものです。編成も当時のJMと同じく,Tp, Ts, Tb の3管編成で,モーダルなアンサンブル重視の自作曲を中心にヨーロッパを中心にライブ活動をしているバンドです。Mons Recordsから3枚,その後Maxos Jazzから1枚の計4枚のアルバムをリリースしているんですが,先日,DUに寄ったら新譜コーナーにUGETSUのCDが並んでいたんですね。<お~,UGETSUの新譜が出てるんだ~。>とすぐさま手にとってレジへ。家に帰ってジャケットのメンバーを見てびっくり。UGETSUのリーダー,マーチン・ゼンカーがいないんです。しかもメンバーであるヴァレリー・ポノマレフ(Valery Ponomarev)(Tp),ティム・アーマコスト(Tim Armacost)(ts),アドリアン・メアーズ(Adrian Mears)(Tb)ら,全員メンバー・チェンジしているし。そしてライナー・ノーツを見て初めて理解したんです。このバンドは僕の知っているUGETSUとは別物であると。このUGETSUはどうもカナダのバンクーバーで活躍しているローカル・バンドで,ジョン・ベントレー(Jon Bentley)(ts )とバーニー・アライ(Bernie Arai)(Ds)が中心となって,やはりJMの『 UGETSU 』にインスパイアーされて結成された若手バンドのようです。M-1<Backstage Sally >はショーターの曲で,JMの『 Buhaina’s Delight 』で演奏されていた曲ですが,UGETSUはドラマーのロールやフィル・インの入れ方などブレイキーそっくりに再現しているし,バック・リフもそっくりで,かなり僕としては好みのアルバムかなと期待はしたのですが,意外に2曲目からは知性派ハード・バピッシュな彼らのオリジナル曲で占められていて,あまり“UGETSU”らしさが感じられないアルバムでした。でもピアノのロス・タガート(Ross Taggart)のソロにはとっても惹かれてしまいました。今時珍しく非常によく歌い,スウィングする古典的バッパーです。全体としては平均点以上の良くできたアルバムですが,UGETSUを名乗るからにはもうちょっとJMのような荒々しい勢いが欲しいところです。


元祖UGETSUの第4作目。それまでのオリジナル・メンバーであるトランペッター,ピーター・タッシャー(Peter Tuscher )が抜けて,ヴァレリー・ポノマレフが参加しています。残念なことにデジャン・テルジクも抜けています。なかなか小気味いいファンキーな楽曲で構成された好盤です。ライナー・ノーツによると,初めマーチン・ゼンカーとバーンハード・ピフル(P)が例の『 UGETSU 』をバーで聴いて,「こんなジャズをみんなでやりたいね~。」と話をしたのがきっかけで結成されたようです。


今日,久しぶりに聴いてみましたが,やっぱり本物は格が違いますね。これだけの役者が揃っていれば出てくる音が半端じゃない。フレディー・ハバード在籍期のJMの傑作です。ところで<UGETSU>の曲紹介で,「次の曲はUGETSUという曲です。日本語で“ファンタジーという意味です。>とブレイキーがアナウンスしていますが,ちょっと変な意訳ですね。この<UGETSU>はシダー・ウォルトンの作曲で,後に<Fantasy in D>という曲名になって再演されています。


余談になりますが,僕が最もお気に入りのJMは,以前にマイブログでも書きましたが,1961年の2月から6月までの4ヶ月間で,アルバムで言うとPisces」,Roots and Herbs」,The Freedom Rider」,The Witch Doctor」,そしてこの「 Alamode 」なんですが,この「 Alamode 」はショーターの提案によってはじめてカーティス・フラーを入れた3管編成で録音されたアルバムです。ただし,まだトランペットはハバードではなくリー・モーガンですが。このアルバムの中に<Circus>というボブ・ラッセルの曲が納められているんですが,この曲が大好きで,どんなに落ち込んでいても,この曲を聴くととっても幸せな気分になるんですね。僕にとってのJMのテーマ・ソングみたいなものです。