チック・コリアがスティーブ・ガット,クリスチャン・マクブライトと組んだピアノトリオ,Super Trio です。一昨日仕事帰りに買って,車の中で聴いてきたのですが,率直な感想としては<緊張感のない凡庸な作品>といったところでしょうか。
スティーブ・ガットはもちろん素晴らしいドラマーであることなど百も承知ですが,70年代のVerveの一連の作品群(「妖精」「The Mad Hatter 」etc)でのチックとガッドの相性は抜群でしたが,果たしてアコースティック・トリオとしてはどうかな~とちょと不安でしたが,その不安が的中してしまったようです。ガットも65才ぐらいなのかな。パワー落ちるのも仕方ないかという気持ちもあります。
チックのピアノトリオというと,僕は1984年の『 Trio Music Live in Europe 』(ECM )が最高傑作だと思っているので,どうしてもそれと比較してしまうわけです。とにかく『 Trio Music Live in Europe 』は凄かった。ミロスラフ・ヴィトウス,ロイ・ヘインズのトリオで,非常に自由度の高く,高次元で繰り広げられるインタープレイ。伸縮自在のタイム感。チックの煌きのある美旋律。1983年に発売されたキース・ジャレットの『 Standards Vol.1 』と共に,強く心に残っているアルバムです。
チックのアコースティック・トリオには,デイブ・ホランド,バリー・アルトシュルと組んだARCトリオ。これはフリー・ジャズ路線の作品で僕の守備範囲外。それからジョン・パティトウチ,デイヴ・ウェッケルと組んだアコースティック・トリオ。これはメンバーは非の打ち所がないのですが,どうもパティツウチの動きすぎるベース音が鼻に付き,僕としてはパス。ちなみにこのトリオのアルバム2枚は既にユニオン逝きです。意外に好きなのがアヴィシャイ・コーエン,ジェフ・バラードと演ったNew Trioです。綿密に書かれた譜面が用意されていたと想像されるカッコイイ楽曲で構成された超個人的名盤『 Past, Present & Future 』。こうしてみるとチックって,多作のわりにトリオでのアルバムが少ないですね。
本作の一番不満なのは,最後の<spain>が盛り上がりに欠ける上にフェイド・アウトで終わること。なんだこれ?といった感じです。これじゃ本国での発売は無いな。というかそんなの日本だけで発売するな~。
【愛聴度 ★★★】