雨の日にはJAZZを聴きながら

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I Love Jackie Mclean, too!!

2006年04月02日 20時42分46秒 | JAZZ
ジャッキー・マクリーン( jackie Mclean )が3月31日に亡くなりました。切ない死です。ジャズが最もジャズらしかった時代に生きたハードバッパーがまた一人消えてしまいました。ご冥福をお祈りいたします。

考えてみれば,大学時代に無我夢中で聴いたハードバップには必ずマクリーンがいたものです。リー・モーガンの『 Cornbread 』,『 The Sixth Sense 』。ドナルド・バードの『 Fuego 』。そしてマル・ウォルドロンの『 Left Alone 』やソニー・クラークの『 Cool Struttin’ 』など。全部マクリーンがいなければ傑作になり得なかった作品ばかりです。あのひしゃげた音程の悪いマクリーン節こそジャズなんだと信じて疑わなかった青春を送りました。そしてジャズとは「哀愁の歌」であることを教えてくれたのもマクリーンでした。

今日は,『 A Long Drink Of The Blues 』のB面のバラード3曲,<Embraceable You >~< I Cover The Waterfront >~< These foolish Things >を聴きながら静かに追悼したいと思います。

Chick Corea 『 Super Trio 』

2006年04月02日 12時05分17秒 | JAZZ

チック・コリアがスティーブ・ガット,クリスチャン・マクブライトと組んだピアノトリオ,Super Trio です。一昨日仕事帰りに買って,車の中で聴いてきたのですが,率直な感想としては<緊張感のない凡庸な作品>といったところでしょうか。

スティーブ・ガットはもちろん素晴らしいドラマーであることなど百も承知ですが,
70年代のVerveの一連の作品群(「妖精」「The Mad Hatter etc)でのチックとガッドの相性は抜群でしたが,果たしてアコースティック・トリオとしてはどうかな~とちょと不安でしたが,その不安が的中してしまったようです。ガットも65才ぐらいなのかな。パワー落ちるのも仕方ないかという気持ちもあります。

チックのピアノトリオというと,僕は
1984年の『 Trio Music Live in Europe 』(ECM )が最高傑作だと思っているので,どうしてもそれと比較してしまうわけです。とにかく『 Trio Music Live in Europe 』は凄かった。ミロスラフ・ヴィトウス,ロイ・ヘインズのトリオで,非常に自由度の高く,高次元で繰り広げられるインタープレイ。伸縮自在のタイム感。チックの煌きのある美旋律。1983年に発売されたキース・ジャレットの『 Standards Vol.1 』と共に,強く心に残っているアルバムです。

チックのアコースティック・トリオには,デイブ・ホランド,バリー・アルトシュルと組んだ
ARCトリオ。これはフリー・ジャズ路線の作品で僕の守備範囲外。それからジョン・パティトウチ,デイヴ・ウェッケルと組んだアコースティック・トリオ。これはメンバーは非の打ち所がないのですが,どうもパティツウチの動きすぎるベース音が鼻に付き,僕としてはパス。ちなみにこのトリオのアルバム2枚は既にユニオン逝きです。意外に好きなのがアヴィシャイ・コーエン,ジェフ・バラードと演ったNew Trioです。綿密に書かれた譜面が用意されていたと想像されるカッコイイ楽曲で構成された超個人的名盤『 Past, Present & Future 』。こうしてみるとチックって,多作のわりにトリオでのアルバムが少ないですね。

本作の一番不満なのは,最後の<spain>が盛り上がりに欠ける上にフェイド・アウトで終わること。なんだこれ?といった感じです。これじゃ本国での発売は無いな。というかそんなの日本だけで発売するな~。

【愛聴度 ★★★】


 


Francesco Cafiso 『 Happy Time 』

2006年04月02日 11時57分57秒 | JAZZ
フランチェスコ・カフィーゾ(Francesco Cafiso )の待ちに待った新作『 Happy Time 』がCam Jazzから発売です。前作『 A Tribute To Charlie Parker 』は短尺なスタンダード18曲入りのストリングス物だったのですが,僕としてはあまり小奇麗にまとまり過ぎたインパクトの薄い作品で,何度も聴く気にはなれなかったので,今回の『 Happy Time 』には期待していました。

本作は全8曲全てカフィーゾのオリジナルで,録音が2005年10月31日ということからも分かるように,2005年11月5日,6日の来日直前の吹き込みです。当然,来日メンバーと同じですし,曲目もほぼプロムナード銀座2005での演奏と同じ。その彼の初ライブでも演奏してくれたとっても印象的なバラード,<She Loves Me >も今回のアルバムに収録されています。ただライブでの演奏の方が数段良かったです。ライブでは最初静かに優しく始まり,徐々に激しく情熱的に昂揚していく劇的な構成なのですが,アルバムにはあまり昂揚感が感じられないんですね。ライブが富士山頂まで上り詰めた演奏だとすれば,本作での演奏は6合目で引き返してきたような印象を受けます。でもめちゃくちゃ上手いことには変わりありませんが。

バックメンバーもバンドとしてもまとまりもよく,単にビック・ネームだけを配したバンドとは違い,非常にサウンド・カラーも統一され,味のあるバッキングでカフィーゾをフォローしています。ピアノのリカルド・アルギーニ(Riccardo Arrighini )は先日紹介したボッソとの競演盤なども発売されたばかりの注目株で,顔は強面ですがとってもエモーショナルな叙情的なピアニストです。

Venusの『 New York Lullaby 』や前作『 A Tribute To Charlie Parker 』が正装姿での清新な作風であったのに対し,本作はジーンズ姿で荒々しく,でもちゃんと押さえるところは押さえ,抑揚を付けてコントロールされた,一皮剥けた大人のカフィーゾが垣間見れる傑作ではないでしょうか。カフィーゾをまだ聴いたことがないという方は,このあたりから入るのも結構いいと思いますが。

Francesco Cafiso 『 Happy Time 』2006 Cam Jazz CAMJ 7782-2
Francesco Cafiso (as)
Riccardo Arrighini (p)
Aldo Zunino (b)
Stefano Bagnolo (ds)

【愛聴度 ★★★★★】