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2015 年 3 月 4 日 10:54 JST
【ワシントン】米司法省は調査で、ミズーリ州ファーガソン市の警察が同市に在住する黒人の公民権を恒常的に侵害していたと結論付けた。
調査のきっかけは、丸腰の黒人青年マイケル・ブラウンさんが昨年、同市の警察官に射殺されたことだった。事情に詳しい法執行当局者によると、同警察には偏見がはびこっていた。
調査によると、警官が黒人を呼び止めたり、逮捕したりする比率は、警官が他の人種に対する比率を大きく上回っている。黒人に対しては、警官が過度な強制力を使う頻度も高く、過度の強制力が使われたケース10件のうち9件は黒人に対して使われていた。黒人が市の人口に占める比率は3分の2だ。
司法省はこうした偏りがある理由の少なくとも一つに黒人に対する偏見があるとの判断を下した。司法省が発見した偏見の証拠の中には、警察や裁判所の当局者が公式アカウントを使って送信した電子メールもあった。それらのメールにはオバマ大統領をあざ笑ったり、黒人女性の妊娠中絶が犯罪減少につながると言ったりする人種差別的なジョークが含まれていた。
ファーガソンのジェームズ・ノウルズ市長は、市当局が3日午後に報告書を受け取ったばかりで、すぐには声明を出さないと述べた。ファーガソン警察にコメントを要請したが、回答はない。
司法省の報告書全体は早ければ4日にも公表される見通しだ。
折りしも同省は、マイケル・ブラウンさんを射殺した元警察官ダレン・ウィルソン氏を公民権侵害の疑いで訴追しないと発表する構えだ。
ブラウンさんの射殺は、全米に抗議の波を引き起こした。
郡の大陪審は既に、ウィルソン氏を起訴しない判断を下し、その後、同氏は辞職した。同氏は、ブラウンさんに脅されて命の危険を感じたと述べている。
司法省がブラウンさんの件で公民権侵害があったと立証するのは難しい。
法律によると、そのためには連邦検察は、ウィルソン氏がブラウンさんの公民権を侵害する意図があったと証明しなければならず、別の警官ならば、同じ状況に置かれても同じ対応を取らなかっただろうことを証明しなければならないとされている。
司法省の報告書は、以前から指摘されていた処遇の偏りについて、問題の深さを浮き彫りにし、具体的な数字も挙げている。
報告書はまた、地元住民が声にしていた不満を連邦政府が認めた形だ。
報告書によると、ファーガソンの裁判所が住民の安全を維持するよりも、収入を住民から捻出することに力を入れていたと指摘する。
ファーガソン市民2万1000人のうち、2014年12月の時点で有効な逮捕状が出ているのは1万6000人に及ぶ。大半は軽微な違反が理由だ。
同裁判所は13年に9000を超える令状を出したが、その対象の92%は黒人だった。