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米ハリケーンの被害額急増、その理由を探る

2018-10-13 | 自然災害

By Kara Dapena
2018 年 10 月 11 日 15:03 JST

9月にハリケーン「フローレンス」に見舞われた米南部および東部の海岸沿いの郡では1980年から2017年の間に人口が急増した。

1平方マイル(約2.59キロ平方メートル)当たり95人増加し、人口密度は2倍以上に上昇した。

ハリケーンが頻繁に襲来しているメキシコ湾・東海岸線沿いの郡全体では同期間に1平方マイル当たり160人増加しており、他の米本土が26人の増加にとどまっているのとは対照的だ。

人口密度

保険仲介大手エーオンのコンサルティング部門エーオン・リスク・ソリューションズのディレクター、スティーブ・ボーエン氏は「沿岸の人口増加とリスクにさらされる度合いの増加が、ハリケーンに関する被害額拡大の主因になっているのは確かだ」と話す。

急増する被害額

米海洋大気局(NOAA)の分析によると、米国で1980年以降に発生した総被害額10億ドル(2018年のインフレ調整後のドル価を使用)以上のハリケーンは40件で、累積被害額は8620億ドル(約96兆7600億円)に上る。

2017年に各地を襲ったハービー、マリア、イルマの3つの被害額は計2680億ドルと、1980年以降の被害額の31%を占め、38のハリケーンシーズンで最も高額となった。

ムーディーズの推計によると、フローレンスは上記3つの暴風雨よりも被害額が少なかった。

ただ380~500億ドルという推計額の上限であれば、1980年以降で最大規模の暴風雨の1つに数えられる。

被害額10億ドル以上のハリケーンの5年移動平均被害額

決め手は風速よりも場所

暴風雨の被害規模を決定付ける要因は風速だけではない。

フローレンスがノースカロライナとサウスカロライナ両州に上陸したときの強さは「カテゴリー1」だった。

2017年のハービー同様、フローレンスによる壊滅的被害の主な要因は洪水だった。

被害額が最大規模の暴風雨には比較的勢力が弱いものもある。

NOAAのアダム・スミス氏は「風速カテゴリーでは、歴史的なハリケーンから被害を完全に予想することはできない」と指摘する。

人口密集地やインフラの多くは沿岸や河川氾濫源などの被害を受けやすい場所にあるためだという。

ハービーのような暴風雨については、草地のような地表をコンクリート化するなどの都市化に伴う変化が水はけに大きな変化をもたらした可能性がある。

2012年に米東部を襲ったサンディは上陸時にはハリケーンから「温帯低気圧」に変わっていた。

しかしNOAAの分析によると、人口密集地を直撃したことで「北東の数州一帯に甚大な被害」をもたらし、損害額は721億9000万ドルと1980年以降に米国を襲った暴風雨の中で4番目の大きさとなった。

通過速度の減速と洪水の増加

フローレンスの被害拡大のもう1つの要因が、滞在時間が長引いたことでノースカロライナ東部一帯が浸水したことだ。

NOAAの大気科学者、ジム・コッシン氏によると、ハリケーンの陸上の通過速度は1946年から2016年の間に17%減速した。

同氏は6月にこの件に関する査読済み論文を英科学誌ネイチャーに掲載している。

全ての条件が同じだとすれば、暴風雨の進行速度が17%減速した場合、その地域の降雨量は17%増加し、結果的に洪水が増えるという。

北大西洋ハリケーンの陸上通過速度

リスクにさらされた住宅

「ハリケーンに見舞われやすい地域に住む人が増えたため、被害が拡大する公算が大きい」。

コロラド州立大学の研究者フィル・クルツバック氏はこう話す。

調査会社コアロジックによると、東海岸・メキシコ湾岸沿いでは住宅の67%が15の大都市圏に集中しており、690万戸がハリケーンによる高潮被害にさらされるリスクがある。

リスクにさらされている住宅が2018年に100%倒壊した場合、完全に再建するためのコストは労働・資材含めて1兆6000万ドルに上る。

WSJ


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