【ロンドン坂井隆之】
英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたことを受け、フランス政府が、ロンドンの国際金融街シティーに拠点を置く金融機関の誘致に乗り出した。
バルス仏首相は、パリで開かれた銀行業界の会合で外国人への税制優遇策などを発表。
シティーから移転を検討する銀行に対し、パリを選ぶよう強くアピールした。
金融機関の幹部らは高所得者が多く、高所得者向け税率が有利かどうかが拠点選択の重要な判断材料となる。
バルス首相は「我々は金融の中心を築く。今がフランスに来る時だ」と強調。
国外からの移住者に対し、国外に持つ資産の課税除外期間を現在の5年から8年に延長することや、所得税の最高税率を75%から50%に引き下げる方針を示した。
フランスに対しては、規制の多さや英語が通じにくいといったマイナスイメージも根強い。
このため、首相は多言語に対応する企業誘致窓口を設置する方針も表明。
仏中央銀行のビルロワドガロー総裁は、金融機関がフランスに拠点を設置する際の申請に対し、迅速な処理を確約した。
英国のEU離脱を巡っては、経営環境が不透明になるとして、シティーに拠点を置く米英などの大手金融機関が相次いで移転の検討に着手している。