◇英議会前で演説 2度目の国民投票やEU再加盟の可能性否定
【ロンドン矢野純一】
英国の新首相にテリーザ・メイ内相(59)が就任することが11日、決まった。
就任決定を受けてメイ氏は同日夕(日本時間12日未明)、英議会前で演説し、欧州連合(EU)からの離脱を決めた国民投票の結果について「(国民は)離脱を決めている」として、国内を混乱させる可能性のある2度目の国民投票や、EU離脱後の再加盟の可能性を否定した。
メイ氏は、13日に英議会で行われるキャメロン首相の辞任演説後、エリザベス女王の承認を経て正式に首相に就任する。
メイ氏には、難航が予想されるEUとの離脱交渉のほか、国民投票で二分された党内や国民の融和も求められる。
メイ氏は議会前での演説で「国を結束させなければならない」と団結を強調。
さらに「EUとの離脱交渉では、英国に最高の結果をもたらす必要がある」と述べ、交渉では英国側の要求を押し通す姿勢を強調した。
2人に絞られていた党首選で、メイ氏の対抗馬のエネルギー閣外相、アンドレア・レッドソム氏(53)が11日昼(日本時間同日夜)突然、撤退を表明。
この結果、メイ氏の首相就任が決まった。
党首は、約15万人の党員投票で9月9日に決まる予定だった。
キャメロン氏は11日夕、首相官邸前でレッドソム氏の撤退について「正しい決断をした」と評価。
メイ氏の首相就任について「議会保守党から絶大の支持を受けている」として、自身も全面的に支持することを明らかにした。
また、離脱運動を率いレッドソム氏を支持していた前ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏らも、メイ氏の支持を表明した。
キャメロン氏の後継には当初、メイ氏ら5人が名乗りを上げていた。
保守党下院議員(330人)による選挙で最も得票の少なかった候補者を順に落とし、7日にはメイ氏(199票)とレッドソム氏(84票)の2人に絞り込んでいた。