ヴィクトリア女王の従僕ジョン・ブラウン(3) 食卓の席順

さて前回ブログ
ヴィクトリア女王の従僕ジョン・ブラウン(2) 召使の階級②の続きです。
今回は召使たちの階級がひと目で判る食卓での席順について。

その前に、召使たちが食事をする部屋サーヴァント・ホール(servant hall)について簡単にご説明しましょう。

 召使が一同に会するサーヴァント・ホール。

サーヴァント・ホールは屋内スタッフが食事をしたり、しばしの休憩を楽しむ(そんな暇があったかどうか…)部屋です。
日本語では「使用人食堂室」と訳されています。

屋内スタッフとはいっても、コックやキッチン・メイドは台所で食事をします。
(台所はコックの聖域と言ってよいほど、独立した部署なのです)

またナニー(乳母)は子供たちと一緒に子供部屋で食事しますし、
ガヴァネス(女家庭教師)は館主一家とともに食卓に付きます。
(ガヴァネスは「雇われの身ではあるが、召使とは別格」という微妙な立場なのだ)

つまりサーヴァント・ホールに集まるのは、
使用人の最高責任者である執事を筆頭に、
館内の運営・主人のお世話にたずさわる、男女の現場スタッフ全員
(ハウスキーパー、従僕・侍女、フットマン・メイド…以下下位etc)となります。

 階級によって、食卓の席順が決まる。

さて、食卓の席順です。
これもまた、厳しい階級によって決められています
まずは以下の図をご覧下さい。

テーブルを挟んで男女に分かれて座ります。
執事が座する席を上座としますと、上座から下座へ向かって階級は低くなります。
そうなると、まあ十中八、九、執事の両隣りはハウスキーパーと従僕でしょう。
それから順に、階級に準じて下座の一番下位の召使へと並んでゆきます。

「召使の階級」の確認はこちらで。
召使の階級組織図
(※別ウィンドウで開きます。圧縮されていますので、画像右下にポイントを置くと現れる「通常のイメージに戻す」ボタンで引き伸ばしてご覧下さい。)

おそらく、忙しい業務の中、男女の召使が一同に会するのは、
この食卓を囲む時だけです。

業務の命令系統は、男性召使なら執事、
女性召使ならハウスキーパーと、きれいに男女別に分かれていますので、
ふだん顔を合わせても、仕事の内容は違います。
(もちろん召使部屋は棟または階が男女別で、とうぜん異性入室禁です。)

思うに、スタッフの数が多ければ多いほど(また出入りが激しいほど)
廊下ですれ違っても

「この人は誰より上で、誰より下なんだ…?」

お互いに一瞬戸惑ったのではないでしょうか。
とくに手を貸して欲しいときなどに。
(異性に、とくに自分より上位には気軽に頼めませんものね)

しかし食卓に付けば、人に聞いて確認せずとも、
男女お互いにひと目で階級が判るわけです。

軍隊式の、厳格できゅうくつなシキタリではありますが、
無意味に厳しいのではなく、
館の運営を円滑に進めていくのに有効な手だったのでは…と思うのです。

さて、次回はついに本題の、ジョン・ブラウンです。
「ジョン・ブラウンが身の破滅を招いた原因」とは、なにか?

ヒントは…食卓の席順にあります。

次回につづく!
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