執事・メイド・従僕・使用人について。あらゆる作品が対象。出版元の詳細は記事中の作品名をクリック。amazonに行けます。
執事たちの足音
執事から貴族への呼びかけ方
英国貴族に仕える執事や従僕たちは、
貴族の敬称をとうぜん心得ておかなくてはなりません。
ディナーの訪問に来られたさる公爵のお出迎えに、“Sir(サー)”なんて呼びかけようものなら、召使の雇い主の品格さえ疑われてしまうことでしょう。
そうはいっても、これがまたややこしいのです。貴族の敬称というのは。
ひとくちに「貴族」といっても、その中には厳然たる階級があり、
呼びかけ方もそれぞれに違っているからです。
英国貴族が登場する翻訳本でも、
貴族への呼びかけをどのように訳すかは、悩ましい問題のようです。
このことは9月のブログ『誰の死体?』従僕に向いている人物・バンター
にも書きました。
さて、ではこのややこしい爵位を持つ人々への呼びかけを、
わかりやすく表にしてみようじゃないの。
というワケで、作成してみました。
おっとその前に、英国の爵位をご説明します。
(説明、表ともに参考は、
『19世紀のロンドンはどんな匂いがしたのだろう』
(ダニエル・プール著 片岡信訳 青土社 1997)
先に表を見たい方は、記事を下部までさげてご覧下さい)
英国の爵位階級・貴族とそれ以外の人々
まず英国の爵位はおおまかに二種類に分けられます。
ひとつは世襲貴族の上位グループ、
そして世襲貴族以外で爵位をもつグループです。
世襲貴族とは、父親から長男へと爵位を継いで行く貴族です。
莫大な財産と広大な領地を持ち、国会議会では上院に所属します。
格付けは上から順に、
1. 公爵(duke デューク)
2. 侯爵(marquess マーキス)
3. 伯爵(earl アール)
4. 子爵(viscount ヴアイカウント)
5. 男爵(baron バロン)
いっぽうの世襲貴族以外の爵位をもつものには、
准男爵と勲爵士があります。
彼らはいわば中流階級に属し、世襲貴族よりも社会的にはずっと劣ります。
准男爵の位階は世襲貴族と同じ世襲制ですが、貴族ではありません。
中流階級のごく上層部に属します。
(准男爵になれるのは、すぐれた医者や弁護士が多かった。)
勲爵士は世襲ではなく、一代限りです。有爵階級の下層部に属します。
しばしば商業に携わる人に爵位を与えられました。
目下の者から爵位を持つ人々への呼びかけ方
さて、さっそく表へまいりましょう。
ここで扱われる「爵位を持つ」人物たちの名前を、
山田太郎、その夫人を山田花子としましょう。
山田夫妻が貴族の場合、横浜地方の領主とします。

いかがでしょう?
公爵夫妻の「ユア・グレイス」をのぞいてほとんどが、
頭につくのが男性なら「ロード」、女性なら「レディ」です。
後ろの付けるのが領地の名前か、姓のみか、氏名か、の違いだけです。
私が執事なら、メモ必須ですね。
2、3人が相手ならいいですが、もし目の前にいっぺんに10人くらい居たら…。
目下の者から貴族の子供たちへの呼びかけ方
さらにややこしいことに、
この他にも優遇爵位(Courtesy Title)と呼ばれるものがあります。
これは貴族の子供たち(およびその配偶者の一部)への礼儀上の呼称です。
本当は貴族の長男といえども、父親の爵位を継ぐまでは「平民」扱いなのですが、
一般庶民と区別するために、
父親の持つ複数の爵位のうち、二番目に高い階位で呼ばれます。
先ほどとおなじように、横浜地方の領主で、貴族の姓を山田、
子供の洗礼名をまなぶ(男子)とけいこ(女子)としましょう。

もう、ロードとレディが頭の中をぐるぐるぐるぐる…。

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貴族の敬称をとうぜん心得ておかなくてはなりません。
ディナーの訪問に来られたさる公爵のお出迎えに、“Sir(サー)”なんて呼びかけようものなら、召使の雇い主の品格さえ疑われてしまうことでしょう。
そうはいっても、これがまたややこしいのです。貴族の敬称というのは。
ひとくちに「貴族」といっても、その中には厳然たる階級があり、
呼びかけ方もそれぞれに違っているからです。
英国貴族が登場する翻訳本でも、
貴族への呼びかけをどのように訳すかは、悩ましい問題のようです。
このことは9月のブログ『誰の死体?』従僕に向いている人物・バンター
にも書きました。
さて、ではこのややこしい爵位を持つ人々への呼びかけを、
わかりやすく表にしてみようじゃないの。
というワケで、作成してみました。
おっとその前に、英国の爵位をご説明します。
(説明、表ともに参考は、
『19世紀のロンドンはどんな匂いがしたのだろう』
(ダニエル・プール著 片岡信訳 青土社 1997)
先に表を見たい方は、記事を下部までさげてご覧下さい)

まず英国の爵位はおおまかに二種類に分けられます。
ひとつは世襲貴族の上位グループ、
そして世襲貴族以外で爵位をもつグループです。
世襲貴族とは、父親から長男へと爵位を継いで行く貴族です。
莫大な財産と広大な領地を持ち、国会議会では上院に所属します。
格付けは上から順に、
1. 公爵(duke デューク)
2. 侯爵(marquess マーキス)
3. 伯爵(earl アール)
4. 子爵(viscount ヴアイカウント)
5. 男爵(baron バロン)
いっぽうの世襲貴族以外の爵位をもつものには、
准男爵と勲爵士があります。
彼らはいわば中流階級に属し、世襲貴族よりも社会的にはずっと劣ります。
准男爵の位階は世襲貴族と同じ世襲制ですが、貴族ではありません。
中流階級のごく上層部に属します。
(准男爵になれるのは、すぐれた医者や弁護士が多かった。)
勲爵士は世襲ではなく、一代限りです。有爵階級の下層部に属します。
しばしば商業に携わる人に爵位を与えられました。

さて、さっそく表へまいりましょう。
ここで扱われる「爵位を持つ」人物たちの名前を、
山田太郎、その夫人を山田花子としましょう。
山田夫妻が貴族の場合、横浜地方の領主とします。

いかがでしょう?
公爵夫妻の「ユア・グレイス」をのぞいてほとんどが、
頭につくのが男性なら「ロード」、女性なら「レディ」です。
後ろの付けるのが領地の名前か、姓のみか、氏名か、の違いだけです。
私が執事なら、メモ必須ですね。
2、3人が相手ならいいですが、もし目の前にいっぺんに10人くらい居たら…。

さらにややこしいことに、
この他にも優遇爵位(Courtesy Title)と呼ばれるものがあります。
これは貴族の子供たち(およびその配偶者の一部)への礼儀上の呼称です。
本当は貴族の長男といえども、父親の爵位を継ぐまでは「平民」扱いなのですが、
一般庶民と区別するために、
父親の持つ複数の爵位のうち、二番目に高い階位で呼ばれます。
先ほどとおなじように、横浜地方の領主で、貴族の姓を山田、
子供の洗礼名をまなぶ(男子)とけいこ(女子)としましょう。

もう、ロードとレディが頭の中をぐるぐるぐるぐる…。


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