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続編に期待!

2016-05-03 | 読書
【2016.05.03(tue)】
最後の長編になってしまうのか?…筒井作品

日本SF御三家の一人といわれた筒井康隆氏の2年半ぶりの長篇小説「モナドの領域」を読みました。
著者自らが「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」と宣言した作品です。

<モナドの領域 筒井康隆著 新潮社 2015.12.05発行>
初出:<「新潮」2015.10月号>
装画はご長男の画家筒井伸輔氏によるものです。昆虫をモチーフに描かれる方ですね。


・私が初めて出会った筒井氏の作品は初期の短編 “東海道戦争”。この時期の作品を読んで異色の面白さに衝撃を受けました。  最初の作品集である<東海道戦争>は既に刊行50周年を迎えるのだとか。時の流れを感じます。

・発表される作品は時を経て徐々に趣を変えていき、私には理解できないものもありましたが、主な作品にはずっと付き合ってきました。
そこで “これが最後の長篇だよ” と言われればもう読むしかないです。
レビューの類はネット上に沢山書かれていて多様な評価をされています。興味のある方は検索してみて下さい。

・筒井氏は本書についてのインタビューにて 「究極のテーマ“神”について書いたので、これ以上書くことはない」 と述べておられたので、もしかして難解?と思ったのですが然にあらず… GOD=作者?の語り口はいつもの筒井氏そのものでした。
言葉の応酬、言語感覚にはいつも脱帽です。

・ストーリーはある街の河川敷で女性の片腕が発見されるという謎解きサスペンス風?の出だしですが、50p辺りで一気に様変わり。
大学教授結野に憑依したGODがすべての事象を解き明かしていくというSFの流れに。
日常生活が突如としてかき乱された街に降臨したGODは、凡人のいかなる問いにも叡智あふれる答を返す。
現世は多元宇宙のうちの一つの世界である…この辺りの仮説は私には難しいのですが著者の独壇場だと感じます。

・最後にGODは去って何事もなかったかのようにこの街に平穏な日常が戻って来る。
物語の終盤、GOD=作者だと暗示されているようで寂しさが募る。最後に読者へメッセージを…との気持ちが伝わるような語り口も。
このエンディングで感じるのは、その気になれば続編も書けるのかなということです。ファンとしてはそれを期待したい。

・多分、読者サイドの好みは極端に分かれると思いますが、私は古くから筒井作品が好きでした。
1983~1985年にかけて刊行された<筒井康隆全集全24巻>を持っています。私は滅多に本を買いませんが、この当時は月1回の刊行が楽しみで給料日になると本屋に通っていました。
この全集刊行当時の筒井氏は50才位。1981年の作品「虚人たち」位までは含まれますが、その後の30年間に書かれた作品は当然ながら収録されていません。現在では全集と言えない状態になっています。
ちなみに私はもう一人、谷崎潤一郎の全集も持っているのですが、作者は購入当時すでに故人(1965年没)でしたのでこちらは今でも全集です。筒井氏の刊行は少し早すぎたのでは?

・ところで全集というものは買っても中々読まないものです。そもそもこれを揃えようとする位ですから作者に対して相当入れ込んでいて、大概の作品は既に読んでいるんですね。

・本は読むことにこそ価値があり、コレクションする物ではないと考えるようになり多くの本を処分しました。
全集も我が家で大きなスペースを占拠しているので、ケリをつけてオークションに出さないといけません。

(ご参考)筒井康隆氏のコンテンツサイトも面白いです。⇒ <笑犬楼大通り>

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【第35回鳥取えびね展での一枚 2016.05.03】
「大雪」という真っ白な品種も展示されていました。見事です。
今年はいきなり強風が吹くことがあり、開花の時期だった我が家のえびねも痛んでしまいました。
聞きますと専門の方は囲いをするなど工夫して栽培されているようです。真似できない。

See you.

I.O
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