月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アルマァズ・18

2015-03-24 07:06:57 | 詩集・瑠璃の籠

不透明なガラスを使って
嘘で丸めこみ
咲いてはいけない花を
無理やり闇の中に埋めた

薄青色のチコリの花をだまして
おまえは馬鹿だから
これ以上大きくなってはならないと
言いきかせて
暗がりの中で 永遠に
馬鹿のために働かせるつもりだった

それなのに ある日突然
ガラスの一部が透明になり
そこから差した一筋の光が
チコリの本当の姿を照らし出す
チコリははっと夢から醒めたように
自分が薄青色の花だったことを思い出す

だましていたのはだれだったのか
だまされていたのはなぜだったのか
考えるよりもまず
チコリは光に向かって伸びようとした
ああ 暗がりに封じ込められていた
自分の本当の姿が
薄青色の愛になってあふれ出して来る

馬鹿は大急ぎで
ガラスの透明になったところに
暗い色を塗ろうとしたが 間に合わない
ひとところを塗れば
違うところが透明になる
そこを塗ろうとすれば
ほかのところが透明になる
なぜだ なぜこんなことになるのだ
黒いことをすれば
全部自分の勝ちだったはずなのに

光がふりそそぎ チコリは自由に伸び始める
とうとうガラスを突き破り
茎を伸ばし 葉を開き
かわいい花芽を作り
太陽の下に 自分自身の花を咲かせた
薄青色の かわいい チコリの花を

チコリは言った
ああ わたしは
全然馬鹿じゃなかったのだ
馬鹿だって言われていたから
馬鹿だと思っていたけど
ほんとうは馬鹿じゃなかったのだ
チコリはやっと気がついた

夢中でガラスに色を塗っていた
馬鹿が我に返った時には
もう野原いっぱいに
薄青色のチコリが咲いていた



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