月の岩戸

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ヴィンデミアトリックス・68

2022-07-20 05:02:25 | 詩集・瑠璃の籠

遠い砂と風の地平から
おまえを呼ぶ声がする
悲しい馬鹿者よ

永遠の黎明が支配する
徒労と疲労の大地に
おまえの座る位置が
用意されている

二度と愛しはしないと
神が涙を千切って叫ぶまで
おまえは馬鹿をやりすぎたのだ

もうすぐやめる
こんなことはいつかやめると
言いながら
おまえは最後まで
嘘で作った人生を降りなかったのだ

愛を裏切り
愛を侮辱し
好きなだけ食える肉にして
自分は永遠に何もしなくていい
ひとりの偉い神になろうとしたのだ
あほうよ

ゆえにもう
愛は枯れつくした
この世を支えている愛のすべてが
おまえを拒否する
愛がおまえに与えた
恵みをすべてはぎとり
この愛の世界からおまえを追い出す

永遠の砂と風の大地が
おまえを呼んでいる
おまえはそこで
ぼんやりと膝を抱きしめながら
餓鬼の腹のような孤独を
永遠に噛んでいるがよい





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