なんとなくはじめました(つれづれなるままに)

日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくります。

お店のあり方

2013年06月16日 14時04分55秒 | なんとなくの酒飲み
盛岡で、とあるビストロにお昼を食べに行った時のこと。

ランチタイムは、プレートランチか、パスタか、カレーから選べ、ワタクシはプレートランチがお気に入り。

で、運ばれてきたプレートランチをいただきながら、壁に書かれている夜のメニューをなにげなく眺めておりますと、

以前はメニューにあったパスタがすべてなくなっておりました。


「あれ?パスタ、なくなったんですね」

注文をさばき、一息ついたご主人に尋ねます。


「ええ。なくしました」

とご主人。

「フランス料理のお店ですからね。本当はパスタとかおけば、注文があるんですが・・・」


そう。盛岡あたりなら、ビストロといっても、ごく普通にパスタがあったりするのですが、パスタは、もとはといえばイタリア料理、

いってみれば、そば屋にラーメンがあるようなものですね。

(あれ?これも盛岡なら普通にあるな・・・)



ワタクシも盛岡に長年住み、盛岡以外に住んだことがなければ、パスタをメニューから外した、というマスターの言葉にピンとこなかったのかもしれません。

ただ、ワタクシ、サラリーマンなもので、ある日、転勤を命ぜられ、東京に住むようになり、ふと気がついたのでありました。


というのは、

なんでもかんでもメニューに並べてしまう、というのは野暮なのではないか、

ということでした。


東京には老舗、と称される名店が数多くあります。

鮨屋さん、鰻屋さん、居酒屋さん、蕎麦屋さん・・・

そして、そこで出されるものは、当たり前ながら、なんでもかんでも、というわけではないのですよね。

鰻ならこのメニューだけ、

鮨ならおまかせのみ、

酒にしてもビールにしても、銘柄は1~2種程度。

居酒屋にしても、老舗の名店は日本酒、ビール、焼酎のみ、

昔から変わらぬ不動のメニューが並ぶのみ、

いやなら他所へ行っておくれ、とでも言いたげな潔さです。


田舎者なので、そういうお店に行くようになり、初めのころは、やや不満に感じておりました。

あの酒があれば、もっといいのにな、

あんな料理もあれば、もっと通いたくなると思うんだけどな、

でも、それは野暮というものです。


まったく勝手な思い込みかもしれませんが、

東京、あるいは歴史のある町の老舗の飲食店は、ある種の潔さがあります。


うちはこれだけ、

他が食べたかったり、飲みたいんだったら他所へ行っておくれ、

他にもいいお店はいっぱいあるんだから。




どんなお客様も取り込んでしまおうと、なんでもかんでもメニューに加えてしまうのは、野暮な振る舞いというわけなのでしょう。

残念ながら、盛岡は、さほど人口の多い町ではありません。

もちろん老舗の名店はありますが、さほど多いわけではなく、

そんな中、一軒で済ましてしまえ、というお客様を取り込んでしまうバリエーション豊かなお店も少なからずあります。


歳をとって、なんかそういう使い勝手がいい、といえば聞こえがいいのですが、

なんでもかんでもあります、というお店は敬遠するようになりました。

専門店ならではのものが味わえる、そういうお店に行くようになりました。


かといって、他人様にそうあれ、というわけではありません。


ただ、いいおっちゃんになって、わが町にいいお店が残ってほしい、という、そんな思いで、

和ならこれ、とか、洋ならこれ、とか、中ならこれ、居酒屋ならここ、とか、

そんな通い方をしようと思うようになりました。

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