本当はくやしくてくやしくて、そして悲しすぎて書きたくないけど、
これも運命。いっそのこと書いてすっきりしてしまおう。
私の旅の目的は小さな聖堂を観ることだった。
この緑の鉄柵の向こう側にある、ビザンティン時代の小さな小さな聖堂。
アギオス・ニコラオス・オルファノス聖堂。
歩いたこともない街なのに、ただの一度も道に迷うことなくこの聖堂の前にきた。
扉が閉まっていることはわかっていたけれど、本当に閉ざされたのを確認して絶望。
私はここにきたのに。はるばる日本からきたのに。
いろんな悪運が重なり、この扉が閉まった25分後に私はここに立ち尽くしていた。
ようするに間に合わなかった。
冬のギリシャはとくにやる気がなく、ほぼいろんな施設が3時で閉まる。
この聖堂に至っては、3時閉館をわざわざ14:45分と紙で書き直してさえいる。
当初の予定では12時半にテッサロニキに到着するはずだった。
出発の遅れ、バスの運転手が道を間違い40分のロス、しかも安全運転すぎて、
高速道路なのにものすごいゆっくり走る(せめて100だせ!)
テッサロニキの街に着いたのは予定より2時間半遅れの3時。
私はバスを飛び降りてそれはそれは急いだ。ほぼ絶望しながら走った。
叫んでもわめいても鎖で錠をされた鉄の扉は開かない。
見るに見かねた近所のじいちゃんになぐさめられもした。
まぁこの絶望というのは、多感な高校生くらいの年齢に突然愛する対象が消える
くらいの衝撃です。もうむか~しに忘れてしまったような何とも言えぬ絶望。
この衝撃から2週間ほど経過した今、
写真を見るたびにつらいけど、それと同時にまたここへ必ず来なければならない
明確な理由ができたことで、なんとか気持ちを落ち着かせている。
聖堂の近くの場所からわずかに海がみえる。
何度も振り返った聖堂へと北上する道。
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