よったろーのせーさく日記3

よったろーのせーさく日記からの引き継ぎです。
ちょちょいのよったろーと申します。
改めましてよろしくお願いします。

以上になります。

2017-07-25 15:21:15 | 日記
以上が【ファーブラ・フィクタ】アクア編第005-02話クアンスティータ・ソリイントゥス編になります。

この後は第005-03話で第三側体でもあるクアンスティータ・ファムトゥ編、第005-04話で第四側体でもあるクアンスティータ・レマ編と続きます。

でも、次の第005-03話までを作ったところで一旦、制作をお休みしようと思っています。

それが出来るまでは続けて作業をしようと思っています。


ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話23

2017-07-25 15:20:37 | 日記
 それに回答するように、【ピア】は、
「♪ラーラララーラララララー♪」
 と軽く歌って見せた。
 カノンは、
「凄い、凄い、ありがとう、ソリイントゥスちゃん」
 とお礼を言った。
 ソリイントゥスは、
「良いよ、良いよ、カノンママ、楽しませてもらったほんのお礼だよ」
 と言った。
 なんだか照れくさそうだった。
 トルムドアがカノンの事を【カノンママ】と呼んでいると聞いて、ソリイントゥスもそう呼ぶ事にしたらしい。
 これで、トルムドアに続いて、ソリイントゥスとも仲良くなることが出来たカノン達は次の側体、第三側体のクアンスティータ・ファムトゥのエリアを目指す事になった。
「ソリイントゥスちゃん……」(カノン)
「何かなカノンママ?」(ソリイントゥス)
「私達は次のエリアに進もうと思うんだけど、ファムトゥちゃんについて知っている事があったら教えてくれないかな?」(カノン)
「何でも良いんだけどね。ちょっとしたことでも」(【ゆのあ】)
「そうだなぁ……戦闘狂だからバトルは避けられないかもね」(ソリイントゥス)
「「え、ば、バトル?」」(カノン&【ゆのあ】)
「大丈夫、ちゃんと手加減してくれると思うよ。戦うのが趣味ってだけだから。バトル抜きにファムトゥのエリアは進めないんじゃないかな?」(ソリイントゥス)
「ちょ、ちょっと怖い……かな……」(【ゆのあ】)
「そ、そうね。話し合いじゃ駄目なのかな?」(カノン)
「どちらかっていうと拳で語る方が好きみたいだよ」(ソリイントゥス)
「こ、困ったな……」(カノン)
「話せばわかるってタイプじゃないってことだよね?」(【ゆのあ】)
「大丈夫タヌ、おいらがついてるタヌ」(【まめぽん】)
 【まめぽん】がついていてもどうにもならないとは思うが、
「そ、そうだね、ありがとう【まめぽん】ちゃん」(カノン)
「さ、サンキュー」(【ゆのあ】)
 というのが精一杯だった。
 力がものを言うというのはカノンにとっても【ゆのあ】にとっても専門外と言えた。
 どうするのか不安を抱えたまま、ソリイントゥスの巨大胸像と別れを告げ、次のファムトゥのエリアへと向かうのだった。


続く。

ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話22

2017-07-25 15:20:06 | 日記
 カノンと【ゆのあ】の会話で大分、ソリイントゥスの巨大胸像とも打ち解けてきた。
 後は本題となる話題をするだけだ。
 では、本題とは何か?
 カノンとしては、みんなで歌を歌ってみたいと思っている。
 トルムドアには【クァノン】をもらった。
 ソリイントゥスにも何か、歌うための要員を出してもらって、17の側体クアンスティータ全てに出会った後で、最後にみんなで歌って見ようと思っているのだ。
 一緒に歌えば絆も深まるのではないかと思っての案だ。
それを聞いたソリイントゥスは
「うーん……」
 と少し考える。
 そして、
「なんか生き物とか飼ってる?それを擬人化させてあげるよ。それがボクチンからのプレゼントっていうのはどう?」
 と言ってきた。
 生き物と言えば、【ミューズ・アニマル ピア】をトルムドア・ワールドに連れてきては居るが――
 カノンが迷っていると主人のためと言わんばかりに、【ピア】はソリイントゥスの巨大胸像の前に立った。
 カノンが、
「あ……」
 と言った。
 どうしたら良いのかわからないからだ。
 【ピア】が【ピア】で無くなってしまうのではないかという恐怖もあった。
 ソリイントゥスの巨大胸像は、
「主人思いだね、お前。大丈夫、怖く無いよ。ほら、すぐ終わった」
 と言った。
 すると、【ピア】の姿が獣人のようになった。
 ソリイントゥスは、
「元の姿にも戻れるよ。変身能力を付与しただけだからさ」
 と言った。
 カノンは、
「そ、そうなの?」
 と聞いたが、ソリイントゥスは、
「踊るだけじゃ物足りないでしょ。その【ピア】っていうのは歌う事も出来るはずだよ」
 と答えた。

ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話21

2017-07-25 15:19:33 | 日記
 ここからが【ゆのあ】の交渉術となる。
 カノンがこれまでソリイントゥスのエリアで体感したことなどを元に【共感】というスタイルで話しを進めるのに対し、【ゆのあ】は自身が体験してきた珍しい話などをして、相手を楽しませるタイプの交渉術をしていた。
 カノンがここへ来る前に会話の素材を探していたのに対し、【ゆのあ】はあまりそれには積極的とは言えなかったのは彼女には元々、会話の話題となる元ネタをたくさん持っていたからだったのだ。
 それは、カノンから見ても興味が惹かれる話だった。
 【ゆのあ】は主に、現界の裏歴史の話をしているのだが、表の歴史にはない裏の歴史の常識や秘密などを面白おかしく話して聞かせた。
 吟遊詩人である彼女の話はとてもうまかった。
 変わったものが大好きなソリイントゥスもみるみる【ゆのあ】の話に引き込まれて言った。
 カノンの方はソリイントゥスのエリアにあるものの中から話題を探していたのに対して、【ゆのあ】は外から話題を持ってきていた。
 これを勝負とすれば、【ゆのあ】の方に軍配が上がるだろう。
 実際に、ソリイントゥスも
「良いね、良いね、君、良いね」
 と大層お気に入りのご様子だった。
 後で聞いたことだが、【ゆのあ】はこの会話術もクアンスティータに気に入られた理由の一つとの事だった。
 そう言えば、トルムドアにとってカノンは【母親】のような立場だったのに対して、【ゆのあ】は【お友達】的立場だった。
 どちらが上とは言えないが、やはり、【ゆのあ】は一緒に居て楽しいと思われているようだ。
 【ゆのあ】の話を元に、クアンスティータ達の所有する宇宙世界もまた広がりを見せるだろう。
 そういう意味でも【ゆのあ】との会話は、有意義な会話であり、貴重な人材であるとも言える。
 【ゆのあ】はカノンの事を凄いと思い、そう彼女に伝えてきたが、カノンにとっても【ゆのあ】は凄いと思える存在だった。
 カノンも【ゆのあ】に負けじと現界の表の歴史の事を話し出した。
 だが、【ゆのあ】の話に比べると多少、面白味が欠ける話になった。
 だが、それでも、珍しい話をしていたので、ソリイントゥスには、
「うん。まぁ、なかなかなんじゃないかな」
 くらいの感想はもらえた。

ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話20

2017-07-25 15:18:29 | 日記
 カノンは、
「この子は【ソリー】って言います。私なりに品種配合してみたのですが」
 と言って、【放牧の里】でレア・クリーチャーに更に二つの核を混ぜて誕生させた五核で出来たレア・クリーチャー【ソリー】を連れてきた。
 本来であれば、【放牧の里】で主従契約を結び、カノンのペットなどとしても良かったのだが、あえてそれはしなかった。
 ソリイントゥスが気に入れば、ソリイントゥスのペットとしてかわいがってもらっても良いと思っていたからだ。
 そのため、ソリイントゥスから名前を一部拝借して【ソリー】と名付けたのだ。
 ソリイントゥスが気に入らなければ、カノンが責任を持って引き取るつもりでいた。
 ソリイントゥスの反応は――
「ふぅん……まぁ、特に変わっているとは言えないけど、見ない種類だね。この子、くれるの?」
 との返事が返って来た。
 カノンは、
「かわいがってもらえるのであれば……」
 と言った。
 ソリイントゥスと言えども虐待するというのであれば、渡す訳には行かない。
 生き物なのだから、責任を持ってもらわなければならない。
 ソリイントゥスは、
「うん、良いよ。この子はソリイントゥス・ワールドが引き取るよ」
 と言った。
 口調からすると少し喜んだようだ。
 反応はまずまずだ。
 さて、この後はどうするか?
 カノン達がソリイントゥスのエリアで体感してきた事などの会話から入って、【混価】で作った工芸品をもう一つの贈り物として――などと会話を組み立てていると、【ゆのあ】が、
「【カノン】さん、私にもしゃべらせてもらって良いかな?」
 と言ってきた。
 ――そう、今まではカノンが主体となって話をしてきたが、交渉権は【ゆのあ】にもあるのだ。
 カノンは、
「ご、ごめん、【ゆのあ】さん、じゃあ、どうぞ」
 と譲った。

ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話19

2017-07-25 15:17:55 | 日記
07 クアンスティータ・ソリイントゥスとの【コンタクト・ポイント】


 カノン達は、【飛行移動装置】に乗り込み、先を急いだ。
 そして、ついに、第二側体クアンスティータ・ソリイントゥスとの【コンタクト・ポイント】にまでたどり着いたのだった。
 【コンタクト・ポイント】にあるのはやはり、トルムドアのエリアの時と同様に巨大な胸像だった。
 胸像の顔はソリイントゥスを表しているのか、トルムドアのものと異なっている。
 トルムドアの巨大胸像はカノンそっくりだったが、ソリイントゥスの巨大胸像の髪型は短めのツインテールになっていた。
 カノン達は【飛行移動装置】を降りて、ソリイントゥスの巨大胸像と向き合う。
 向き合うと言っても胸像は大きいので、目線が合うように、少し離れた位置ではあるのだが。
 カノンは、
「初めまして、クアンスティータ・ソリイントゥスさん。トルムドアちゃんの事は【ちゃん】付けで話しているからあなたの事もソリイントゥスちゃんでいいかな?――なれなれしいかな?」
 と話しかけた。
 すると、ソリイントゥスの胸像の目が光り、
「良いよ、別に――でもボクチンは、【ただもの】には用は無いよ。変わったものとか持ってる?」
 と聞いてきた。
 恐らく普通の人間ですと言って近づいていたら処分されていたかも知れない。
 ソリイントゥスは自分の事を【ボクチン】と言うのかとカノン達は思った。

ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話18

2017-07-25 15:17:16 | 日記
 この言葉は言う人によっては嫌味に聞こえるのだが、根がまじめで一生懸命な彼女に言われると嫌味には聞こえなかった。
 【ゆのあ】は、
「何を作るの?」
 と聞いた。
 カノンは、
「【変わったもの】をテーマに何かを作ろうと思って。ソリイントゥスちゃんは変わったものが好きみたいなので……」
 と答えた。
 【まめぽん】が、
「おいらもつくりたいタヌ」
 と言った。
 だが、これは資格が居る作業だ。
 カノンは、
「ごめんね、【まめぽん】ちゃん。危ない作業だから、資格を取らないと出来ない作業みたいなのよ。でもね、【混ぜる】事は出来なくても、物質単独で捏ねたり、何かを形作ったりは出来るからそっちを手伝ってもらえるかな?」
 とやんわりと【まめぽん】でも出来る作業を伝えた。
 それを聞いた【ゆのあ】も、
「私も手伝っても良いかな?」
 と聞いてきた。
 カノンは、
「お願いしてもらっても良い?じゃあ、これから作るのは三人の合作ってことで」
 と言った。
 【まめぽん】が、
「【合作】って何タヌ?」
 と聞いてきた。
 カノンは、
「一緒に作るってことだよ。三人で一緒に作りましょうってお話」
 と言った。
 【まめぽん】は、
「一緒に作るタヌぅ~」
 と言ってはしゃいだ。
 こうして、【混価】体験も済ませたのだった。
 寄れるところはだいたい寄ったので、次はいよいよ、ソリイントゥスとの【コンタクト・ポイント】に向かう事にしたのだった。

ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話17

2017-07-25 15:16:27 | 日記
06 混価(こんか)


 カノン達はソリイントゥスとの【コンタクト・ポイント】に行く前に、もう一カ所立ち寄る事にした。
 それは、【混価(こんか)】と呼ばれる伝統工芸を体験するためだ。
 【混価】とは一体何なのか?
 それは、地球で言えば陶芸やガラス工芸がイメージに近いと言えるだろう。
 【混価】は焼いたりなどはしないが、工芸品を作るという点では共通している。
 例を挙げれば、Aという物質とBという物質があったとする。
 Aは粘土のように形をこねくり回して作るものであり、Bという物質はドロドロしている水飴のようなものだとする。
 AとBは単独ではそれぞれの性質を持っているがAとBの物質が混ざり合うと一瞬、もしくは時間をかけてCという物質になり固まる。
 そのCという物質を工芸品として作る技術の事を言う。
 化学を利用した工芸というものだ。
 混ぜる事で価値ある工芸品になる事から混ぜるの【混】と価値の【価】を合わせて【混価】と呼ばれる伝統工芸となる。
 これには正しい化学の知識が必要とされ免許を取得しないと作る事が出来ない。
 カノンはこれでもセカンド・アースの時、いろいろな免許を取得していた。
 発明をするのに資格が必要なものもあり、それで何となく取得していったのだ。
 カノンはソリイントゥスのエリアでも資格を取って作って見ようと思ったのだ。
 その作った物をソリイントゥスにプレゼントするつもりでだ。
 トルムドア・ワールドの中なので、現界とは時間の流れが違うので軽い気持ちで【混価】の資格を取得するための勉強会に参加し、受験料を払って試験を受けて合格した。
 この間、トルムドア・ワールドの時間でたったの一週間だった。
 カノンは元々、天才プリンセスと呼ばれていたので、この程度の事は朝飯前だった。
 彼女にとっては当たり前の事だったのだが、間近で見ていた【ゆのあ】は、
「す、すごいね。あっという間に資格とっちゃったね……」
 と驚いていた。
 カノンはそれを聞いて、
「あ、ありがとう。でも化学の知識は元々あったし、覚える事はそれほど多く無かったから……」
 と謙遜した。

ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話16

2017-07-25 15:15:43 | 日記
 そんな四枚の【封禁物】を前にしてカノンが出来る事は鎮魂歌を歌う事くらいだった。
 【ロスター】氏が持っている【通信玉】の音声をオンにしてもらって、カノンは【ゆのあ】と共に歌った。
 それを聴いたからか、それまで、【禁存館】に漂っていた禍々しい雰囲気がいくらか緩んだ気がした。
 だからといって、封印が解かれるという事にはならないのだが、それでも少しは気が晴れたのかも知れない。
 【ロスター】氏は、他にも【禁存館】の成り立ちや、他の【禁存館】などの軽い情報なども話してくれた。
 やはり、本家本元のソリイントゥス・ワールドよりも遙かに規模は小さいが、それでもこのソリイントゥスのエリアには数え切れないくらいの【禁存館】が点在する事もわかった。
 他にも【解放者】達の主張や対立の事なども聞かせてくれた。
 それに対する【ロスター】氏の考えなども詳しく聞かせてもらった。
 最初は頼りない雰囲気だったが、やはり隊長をしているだけあって、【ロスター】氏の考えはそれなりにしっかりしていた。
 やはり、【禁存館】を知っておいて正解だったとカノン達は思った。
 【禁存館】の事を知らずにソリイントゥスとの【コンタクト・ポイント】に行っても何しに来たと思われるのが関の山だっただろう。
 危険だからと言って避けてばかりは居られないという事だ。
 危険でも何かしらのコンタクトの仕方を模索していけば、それなりになんとかなるものだと言うことでもある。
 【ロスター】氏の説明は的確だったので、思いの外、早く【禁存館】見学を終えたカノン達は【まめぽん】達が帰って来た時のために、ごちそうを用意して待つことにした。
 少しして戻って来た【まめぽん】は、
「凄かったタヌ。みんなにも見せたかったタヌ」
 と興奮気味だった。
 カノン達もレマのエリアに行ったら是非【光車】に乗ってみようと思うのだった。
 【まめぽん】達も合流した事で、カノン達も次へ進む事にした。
 【ロスター】氏にはお礼に作ったクッキーをプレゼントした。
 【ロスター】氏は頬を赤らめ、
「また、何かあったら協力しますんで」
 と言って喜んだ。


ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話15

2017-07-25 15:15:07 | 日記
 【禁存】を絵画や彫刻に封じた場合、更に一定の場所から動けないようにするために特別な処理をする必要がある。
 そこで、必要なのが建物などに特別な封印処理を施すという事になる。
 それは建物に限ったことではないが、最も多いのは建物型になっているため、名称が、【禁存館】という建物の様な名前になっているのだ。
 【ロスター】氏はこの【禁存館】で封じられている【禁存】の説明を始めた。
 名前を唱えると封印が解除される場合もあるので、ここでは【一枚目】、【二枚目】という表現で使っている。
 【一枚目】は混ざり合うという力を持った存在が封じられているらしい。
 誰彼かまわず混ざってしまうので、存在としての秩序が保てなくなるとして封じられているらしい。
 【二枚目】は、視線を浴びると記憶が消えてしまう力を持った存在が封じられているらしい。
 目を合わせただけで記憶がなくなってしまうというのは大変危険であると言える。
 【三枚目】は、ワープ現象を引き起こしてしまう存在が封じられているらしい。
 近づいただけで、どこかに飛ばされてしまうらしいので、普通に生活することは無理だろう。
 【四枚目】は、近づいただけで存在が溶解してしまう存在が封じられているらしい。
 そう言えば、琴太とパーティーを組んでいた賞金稼ぎの【クイーン・ハート】は髪の毛を溶解質に変化させるという力を持っていた。
 それの超危険版であるという所だろう。
 ちなみに、カノンは【クイーン・ハート】がすでに故人となっている事は知らない。
 レッド・フューチャーという未来から来た琴太チームの助っ人アリスのサイコネットを通じて琴太チームと話した時にも琴太がはっきりと自分のチームのピンチを言わなかったためだ。
 弱味を見せないというのが琴太らしいのではあるが。
 四枚の絵画に封じられている【禁存】はどれも表の世界に解放したらパニックになりそうな存在であると言えるだろう。
 だが、それで【禁存】が不自由な思いをしているというのも【禁存】側からしたら理不尽な事かも知れない。


ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話14

2017-07-25 15:14:36 | 日記
 レマのエリアに行けば、カノン達が乗ってきている【飛行移動装置】ごと積める大型の【光車】も走っているらしいが、ソリイントゥスのエリアのものは小型なので、住民達からそれを聞いた時、正直、どうしようかと思っていたのだ。
 ソリイントゥスのエリアの【光車】は大体二日で一回りするらしいので、それまでにカノン達は【禁存館】をある程度、把握したいと思っている。

 【ロスター】氏は【禁存館】に入った。
 【禁存館】とは名前がついているが、最も規模が小さいので、大きさとしてはごく普通の一軒家の2、3倍の大きさという小さな建物だ。
 二階建てになっていて、一階の部分はロビーのようになっている。
 一階の中央にらせん階段があり、それを昇っていくと二階に出るという作りで、二階の部分は三階分の高さがある。
 天井には巨大なシャンデリアがありそれは宙に浮いている。
 シャンデリアの上の天蓋(てんがい)の部分には大きな宗教画のような絵画があるが、それは普通の絵画だ。
 他にも二階にはロココ調の調度品を思わせるようなものが所狭しと置いてあるがそれも関係無い。
 他の調度品が飾られているのはこの規模でもたまに、関係者を集めてサロンが開かれる事もあったので、その名残りだという。
 二階の四方の壁一面に飾られた四つの大きな絵画――それが【禁存】が封じられている【封禁物(ふうきんぶつ)】と呼ばれるものだ。
 この四枚の絵画にそれぞれ、一名ずつ【禁存】が封じられている。
 ソリイントゥスのエリアの美術品などはそのまま、【禁存】を封じる道具としても使われている特別製のものが多く、絵画だけでなく、彫刻などにも封じられている場合もある。
 絵画や彫刻と一口に言っても現界で見られる絵画や彫刻とは少し違う。
 ソリイントゥスのエリアの絵画や彫刻は動くのだ。
 なので管理が必要となる。


ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話13

2017-07-25 15:14:06 | 日記
 【ロスター】氏の案内で【通信玉】は【禁存館】に近づく。
 ごくっと緊張が走る。
 【禁存】が出て来てしまったら【ロスター】氏に頼るしかないのだ。
 【ロスター】氏が失敗しないようにあまり細かな指示は出せないという事でもある。
 【ロスター】氏は、
「ここが、自分達が担当する【禁存館】であります。じゃあ、入りまーす」
 と軽い口調で【禁存館】に入っていった。
 普段はチームで行動するのだが、現在はカノン達への案内のために【ロスター】氏は警護を部下に任せ、単独で行動している。
 このことが裏目に出てしまわないように【ロスター】氏には気をつけて行動してもらわねばならない。
 【ロスター】氏の説明ではこの【禁存館】に封じられている【禁存】の数は、たったの4つ。
 つまり基本的に展示物も4つしかない。
 【禁存館】としては最も小規模なものと言っても良い。
 だからといって安心は出来ない。
 封じられているのは危険な【禁存】なのだから。
 ちなみにお子様な【まめぽん】には目の毒かも知れないので【クァノン】に引率してもらって、別の場所に行ってもらっている。
 それは【光車(こうしゃ)】での旅だ。
 【光車】とは光で動く電車の様な物を指す。
 本来、第四側体クアンスティータ・レマのエリアでの特徴なのだが、変わったものが好きなクアンスティータ・ソリイントゥスと唯一無二のものが大好きなクアンスティータ・レマは趣味が似ていると言っても良い。
 なので、ソリイントゥスはレマの宇宙世界の事もチェックしていて、気に入ったものはソリイントゥス・ワールドでも取り入れる事にしているらしい。
 【光車】もその一つで、光速で移動する事で見える超絶景ポイントというのがレマ・ワールドには無数存在しているという。
 ソリイントゥス・ワールドは本来、その様な絶景ポイントは存在しないのだが、ソリイントゥスがちょこちょこ作っているようだ。
 おかげで、ソリイントゥス・ワールドには数百の【光車】が走る様になったらしい。
 トルムドア・ワールドのソリイントゥスのエリアにも【光車】は一両だけ走っているとの事なので、子供だましじゃないが【まめぽん】にはそこで楽しんで来てもらう事にしたのだ。


ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話12

2017-07-25 15:13:31 | 日記
 駄目かも知れないと思ってやっていたが、やってみるものである。
 快く引き受けてくれる存在が居た。
 警備隊をしている【ロスター】氏だ。
 彼は警備隊長をしているらしく、彼が回っている【禁存館】のレベルまでなら例え【禁存】が解放されても元に戻せる力を持っているらしい。
 彼はカノン達の事をえらく気に入ってくれて、彼女達のためならばと二つ返事で引き受けてくれた。
 【ロスター】氏の特徴と言えば、なんと言っても腕が四本生えている事だろうか。
 それだけでも普通の人間とは違う。
 更にその体には不釣り合いなほど大きな翼も生えている。
 なんとなくではあるが、人間以上の力を持っている事は想像がついた。
 【ロスター】氏は、
「感激です。自分がレディー達に案内をさせてもらえるなんて」
 と言っていた。
 カノンは、
「あ、ありがとうございます。テレパシー通信でこの玉から直接あなたの頭に声が届くようになっていますので、【禁存】の解説の方、よろしくお願いします」
 と言った。
 【ロスター】氏は、
「はい、わかりました。お任せください」
 とやる気満々だ。
 威勢が良いのは結構だが、何となくちょっと頼りない感じだなとは思いつつ、カノンと【ゆのあ】は大人の対応で、
「「よろしくお願いします」」
 と頭を下げた。
 こうして、遠隔による【禁存館】見学が決まったのだった。

ファーブラ・フィクタ アクア編005-02話11

2017-07-25 15:12:57 | 日記
05 禁存館(きんそんかん)


 カノン達が次に立ち寄ったのは、住民達に近寄るなと言われて居た【禁存館】だ。
 やはり、ソリイントゥスのエリアの大きな特徴であるここは、せめて遠巻きにだけでも確認して起きたかったのだ。
 ソリイントゥスとの交渉で、【禁存館】を知らないでは、笑い話にもなりそうもないからだ。
 もちろん、【解放者】達のように【禁存館】に封じられている【禁存】を解放させるつもりは全くない。
 封じられているという事は危険視されているという事なので、そんなものを解放させた日には目も当てられない。
 カノン達としては【禁存】がどのような存在でどのように封じられているか、それだけでも知っておきたいと思って居る。
 やはり、最悪の事態を想定して、安全策を用意しておかねばならないだろう。
 安全策とは、もしも【禁存】が解放されてしまった場合、カノン達に代わって封じてくれる存在を連れてくるというものだ。
 それは、【解放者】という場合も考えられるが、正統派のカノンとしてはやはり警備隊などにお願いするのが筋だろうと判断した。
 だが、普通にお願いしても断られる可能性がある。
 ならばどうする?
 そこはまた、発明だ。
 最低限の視覚情報と通信設備だけをつけた【通信玉(つうしんぎょく)】を発明し、カノン達は【飛行移動装置】で待機。
 警備隊に説明してもらうという形を取るというものだ。
 カノン達は【通信玉】の安全性を説明し、警備隊に【通信玉】を持って【禁存館】に入って説明してもらうという方法を選択した。
 後はそれをお願いする警備隊を探すだけだ。
 カノン達はコンサートを開き、発明品などを売ったりしながら、情報を集め、やってくれそうな警備隊の存在を探した。