<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

中国経済の現況(今週の報道から)

2012-04-20 | 中国経済

今回は、超ひさしぶりに「マクロ経済」を中心に。
今週も色んなニュースがありましたので。



まず、中国経済の代表的指標、GDP(国内総生産)成長率から。
2012年第1四半期は、8.1%となりました。
ほぼエコノミストの予想に近い数値でしたね。
もっとも、日本の報道をみると「5期連続のマイナス」、「3年ぶりの低水準」といったネガティブな表現が並ぶ。
ものは言いようですね。。。

筆者、この類の報道をみていつも思うのは、記者は結局、結論ありきで記事を書いているだけではないか・・・というコト。
だって、成長率が予想以上に高いと「バブル懸念再燃」とか「物価高で庶民が悲鳴」とか書くわけでしょ?
確かにこうした統計数値が経済全体の状況を映し出していることは事実だが、生活者の視点に立てば、コンマ数パーセントの数値は誤差の範囲と言ってよい。

あまり言いたくはないが、時にはマイナス成長に転落するような国のメディアが大きな顔をして8%前後の成長率を論じるのは、論じられる国のメディアからすると「的外れ」に映っているかも知れない。

中国政府は、今年の経済成長率の目標値を7.5%に設定しており、この意味から考えると、不動産業界が期待している経済緩和策が今すぐ発動される可能性は低いと言えよう。
今でこそ物価は落ち着きを見せているが、原油高は相変わらずだし、不動産の販売不振が深刻化しているものの、不動産価格が下落の一途を辿っているかと言えば、それはまだ確定的に言える状況にはないようだ。

この8.1%という数値、中国政府にとっては居心地のよい数値とも言える。
なぜなら、高すぎても低すぎても批判を浴びる危険性が高いからだ。
温家宝首相も「わが国経済の基礎は総じて良好で、経済成長は合理的な範囲内に収まっている」との見解を示している。とりあえず一安心といったところだろう。


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これが関係しているかどうかは不明だが、為替のほうでも大きな変化が。
中国人民銀行(中国の中央銀行)は、4月14日、外為市場での人民元の対米ドル1日当たりの変動幅を基準値の上下0.5%から1%へ拡大することを発表した。
コレ、5年ぶりの措置なので、結構重みのある変更です。

中国政府はこれまでどおり、人民元の緩やかな上昇を容認する形で通貨改革を進めていくでしょうね(ま、改革とまでは言えませんが)。
今回の発表も、米国政府との駆け引きの結果、引き出されたものとの見方があるし、この措置をもって欧米諸国が「人民元相場を不当に低く抑えている」との批判を引っ込めることは考えにくい。
ただ、欧州危機がくすぶる中、中国経済が変調を来たすのは避けたいのも事実。
微妙なバランスの中での駆け引きが続くだろう。

こうした状況の中、いくつか注目すべきデータが発表されている。
まずは、上海の3月輸出実績。
これが前年同月比0.7%減、実に13ヶ月ぶりにマイナスに転じたのだ。
さらに上海市単体での輸出は6.2%減、2年4ヶ月ぶりのマイナスなので、上海のほうが欧州危機などによる外需低迷の影響を受けていることが窺われる。

時を同じくして、企業業績の数値も発表されている。
上海市管轄の国有企業の第1四半期業績は、売上合計が前年同期比9.6%増と堅調だが、逆に利益合計は同8.3%減という増収減益となっている。
ここでも、外需、不動産、自動車といった部分の不振が影響を与えている可能性が高い。


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加えて、基幹産業のひとつである鉄鋼業の状況も芳しくない。
中国鋼鉄工業協会が発表したところによると、国内主要鉄鋼メーカーの第1四半期業績は、販売収入合計が約1%のマイナス、純損益合計に至っては前年同期の258億元の黒字から10億円余りの赤字へと転落しているのだ。
コスト増や税金負担増とあわせ、不動産や自動車の低迷が影響したのは間違いないだろう。
一方で、粗鋼生産量のほうは緩やかに増加のペースを維持しており、このまま需要が伸びなければ、さらに深刻な供給過剰を招きかねないと危惧している。

一見順調そうに見える中国経済だが、足元でも不安な要素が散見されるようになってきた。
最近、日本企業の中国進出が増えていると聞くが、これまでも「日本企業が動き始めたら、そこが市場の天井」と揶揄されてきた。
今回ばかりは、その二の舞にならなければよいのだが・・・。

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