引き続き社会保険問題を取り上げるが、今回が最終回。
前回記事で説明したように、上海市の場合は1人当たり約80万円の負担増となりそうだが、果たして加入による効果は享受できるのか・・・?
これは、残念ながらあまり期待できそうにない。
今回、加入が義務づけられる「五金」のうち、労災、雇用、生育は突発的な要因に基づく給付なので、やはり関心が高い養老(年金)と医療のふたつに絞って考察を進めたい。
まず、養老保険。
年金受給資格は15年と、日本の25年と比べると非常に短い。
が、駐在員で15年も在住する人は極めて少ないと言えるので、受給資格を得る日本人はごく僅かということになる。
というか、これだけ長期にわたって保険料を払い続ける日本人は、もはや中国在住と言っていい人たちでしょうね。中国で税金もかなりの金額を納付することにもなるでしょうから、当然ながら年金を受給すべきです!
ただ、どのくらいの金額を受給できるか・・・疑問が残りますが。
次に、医療保険。
保険の目的は、医療費の積立・一部負担だが、保険適用は中国基準となっており、外国人が受診する内容では対象外となることもあるようだ。
しかも、駐在員の場合、多くが日系保険会社の海外旅行傷害保険(駐在員型)に加入しており、よほどの傷病でない限り日本人向け医療機関で受診するケースがほとんど。
加えて、上記の民間型保険に加入していなくても、後払いでよければ日本の公的医療保険も適用対象(全てが認められるわけではないが)。
日本人が純粋な現地医療機関で受診することは極めて稀なので、これも加入による効果薄と言わざるを得ない。
ちなみに、日本の社会保険は国籍無関係なので、そもそも今回のような問題自体が発生する仕組みになっていない。必然的に、外国人を不当に扱っているとの批判を受けることもないわけで・・・。
しかも、日本の社会保険には脱退制度が設けられている。
中国も「個人口座」の残額分を返金する仕組みになっているようなので、この「個人口座」について理解を深める必要がある。
日本と中国の社会保険の決定的な違いは、対象範囲。
中国では「加入している個人」しか給付対象にならないが、日本では「加入者の家族」にまで対象範囲が及ぶのが大きな違いだ。
よって、高齢者やこどもに関しては、福祉の領域で給付が行われる仕組みとなっているようだ。
確かにこういった事情であれば、中国で共働きが多いというのも納得できる。
女性が働かなかった場合、社会保険をどうするのか?という問題が起こりうるからだ。
また、中国の街中を歩いていると、日本よりも薬局が多いように感じる。
一般的に、日本人はちょっとした風邪でも病院で受診するケースが多いが、中国人は薬局で薬を買って済ませるケースが多い。
これは、何だかんだ言っても、日本の医療保険制度が「財布にやさしい仕組み」になっている裏返しと言えるだろう。
まとめになるが、今回の加入義務づけに対して、どのように対処すべきなのか?
まずは、中国国内の規定を注意深くウォッチすること。
加入に関しては、今回義務づけられたわけだし、罰則規定も設けられているので、近い将来の加入に向けて資金的な部分も含めて準備を進めておく必要がある。
なお、進出規模が小規模なので、駐在ではなく短期派遣の繰り返しを選択するという対処法もあるが、この場合は将来的にビザが厳格化される危険性があることを十分に認識しておくことが必要だろう。
いろいろ考えていくと、長期的にはかなりの部分で現地化を進め、日本人駐在員を極力減らしていくという努力が求められることになろう。
あとは、日本政府の協定締結に期待しつつ。。。
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前回記事で説明したように、上海市の場合は1人当たり約80万円の負担増となりそうだが、果たして加入による効果は享受できるのか・・・?
これは、残念ながらあまり期待できそうにない。
今回、加入が義務づけられる「五金」のうち、労災、雇用、生育は突発的な要因に基づく給付なので、やはり関心が高い養老(年金)と医療のふたつに絞って考察を進めたい。
まず、養老保険。
年金受給資格は15年と、日本の25年と比べると非常に短い。
が、駐在員で15年も在住する人は極めて少ないと言えるので、受給資格を得る日本人はごく僅かということになる。
というか、これだけ長期にわたって保険料を払い続ける日本人は、もはや中国在住と言っていい人たちでしょうね。中国で税金もかなりの金額を納付することにもなるでしょうから、当然ながら年金を受給すべきです!
ただ、どのくらいの金額を受給できるか・・・疑問が残りますが。
次に、医療保険。
保険の目的は、医療費の積立・一部負担だが、保険適用は中国基準となっており、外国人が受診する内容では対象外となることもあるようだ。
しかも、駐在員の場合、多くが日系保険会社の海外旅行傷害保険(駐在員型)に加入しており、よほどの傷病でない限り日本人向け医療機関で受診するケースがほとんど。
加えて、上記の民間型保険に加入していなくても、後払いでよければ日本の公的医療保険も適用対象(全てが認められるわけではないが)。
日本人が純粋な現地医療機関で受診することは極めて稀なので、これも加入による効果薄と言わざるを得ない。
ちなみに、日本の社会保険は国籍無関係なので、そもそも今回のような問題自体が発生する仕組みになっていない。必然的に、外国人を不当に扱っているとの批判を受けることもないわけで・・・。
しかも、日本の社会保険には脱退制度が設けられている。
中国も「個人口座」の残額分を返金する仕組みになっているようなので、この「個人口座」について理解を深める必要がある。
日本と中国の社会保険の決定的な違いは、対象範囲。
中国では「加入している個人」しか給付対象にならないが、日本では「加入者の家族」にまで対象範囲が及ぶのが大きな違いだ。
よって、高齢者やこどもに関しては、福祉の領域で給付が行われる仕組みとなっているようだ。
確かにこういった事情であれば、中国で共働きが多いというのも納得できる。
女性が働かなかった場合、社会保険をどうするのか?という問題が起こりうるからだ。
また、中国の街中を歩いていると、日本よりも薬局が多いように感じる。
一般的に、日本人はちょっとした風邪でも病院で受診するケースが多いが、中国人は薬局で薬を買って済ませるケースが多い。
これは、何だかんだ言っても、日本の医療保険制度が「財布にやさしい仕組み」になっている裏返しと言えるだろう。
まとめになるが、今回の加入義務づけに対して、どのように対処すべきなのか?
まずは、中国国内の規定を注意深くウォッチすること。
加入に関しては、今回義務づけられたわけだし、罰則規定も設けられているので、近い将来の加入に向けて資金的な部分も含めて準備を進めておく必要がある。
なお、進出規模が小規模なので、駐在ではなく短期派遣の繰り返しを選択するという対処法もあるが、この場合は将来的にビザが厳格化される危険性があることを十分に認識しておくことが必要だろう。
いろいろ考えていくと、長期的にはかなりの部分で現地化を進め、日本人駐在員を極力減らしていくという努力が求められることになろう。
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