<中国ブログ>中国サイコウ 元/上海駐在日本人が綴る日中経済の状況など

中国駐在時代の経験・知識をもとに、
最高(サイコウ)の日中関係の再構築を目指し、
日本と中国を再考(サイコウ)する

中国式ビル建設を考える

2011-10-09 | 中国ビジネス
ご承知のとおり、中国はどの都市でも建設ラッシュが続いている。
筆者が2年前に上海に赴任した際、ある邦銀駐在員の方から「上海で今後2年間に建築される14階建て以上の建築物の数が、日本国内の総数と同じくらいの数」と聞いて、非常に驚いたのが思い起こされる。
当時と現在を比べると、上海万博前の熱狂ほどはないものの、いまも精力的にビル建設が進められている。
当地の不動産開発はむしろ郊外にまで拡がっている感があり、その意味では今後「グレーター上海」といった方向性が顕著になり、製造業の進出は金山区などの郊外へと押しやられる可能性が高まっている。

今回は実際の建築現場の様子なども踏まえた考察を行ってみたい。



これはある建設現場の様子。
ひとつひとつの造りが大きいだけに、全体の配置も非常にシンプル。
設計するほうは楽かも・・・。

ただ、端のほうをみると・・・



建築に伴って発生するゴミが散乱!
中国の建築現場では、毎日ゴミを整理するっていう習慣はないのです。
これ、どの建築現場でもほぼ一緒なので、常識かも。

中国人の合理的な感覚からすれば、「ゴミ処理は回収業者がやることで、自分たちの仕事は建築すること」という割りきりがあるのだろう。
また、現場で働いている労働者の大半が出稼ぎ農民工なので、もともと片付けるという意識が低いと言える。

こうした現場労働者が造り出すビルやマンションの性能が良いか?と考えれば、自ずと想像がつくだろう。
高額な購入費に見合うだけの品質は確保されていないのが現状だ。

上海市内を車で走っていると、個性的なデザインのビルを多数見かけることができる。
ある意味、個性を競い合っているようにすら見えるが、その中身は大して変わらないようだ。

筆者が住んでいるマンションも、働いている事務所も、中級程度の部類に入るが、その性能は決して褒められたものではない。

住居のほうは、基本的にコンクリート打ちっ放しの構造なので、断熱効果がほとんどない。
その上、天井がかなり高いので、見た目はいいが、暖房機器が全く役に立たない。
だって、エアコンじゃ限界があるし、オイルヒーターじゃ話にならないでしょ。
でも、ほぼこの二つしか選択肢がないわけで。。。

おまけに、開口部(窓やドア)の処理が悪いため、隙間風が入ってきて、冬場はとんでもなく寒い@@@
皮肉なことだが、北京や大連などの北部では寒さ対策が施されているため、冬場の室内の快適さは上海よりも遥かに上という結果が生まれている。

事務所の隙間風も相当なもので、冬になると別途、温風器を設置しているのが現状だ。
ま、気持ち程度しか改善されませんが。。。
しかも、ビル自体が大きいことと空調効率が悪いことが影響して、空調によって環境が改善されることは期待薄なのだ。

こう考えると、今さらながら冬が到来するのが恐ろしくなってきたなぁ・・・。

中国のビルは、見た目以上に古く見えるため、見た目の半分が実際の建築年数になるとさえ揶揄されている。
例えば、「築6年くらいかなぁと感じたビルは、実際のところ築3年くらい」というケースが多いというのだ。

中国人による日本不動産の買占めが指摘されているが、こうした不動産事情も背景にあるのでは・・・と言われている。
底地も長期使用権に基づくものなので、「本当に終の棲家になるのか?」という心理的不安も背景にあるようだ。

とはいえ、中国はいま不動産バブルの真っ只中。
どちらかと言うと、売り手市場の状況が続いているのだ。
この状況が改善されるには、まだまだ時間がかかるだろう。
本当の住宅性能が問われる時代が来るのは目に見えている。
そのときを見越して、日本の優位性をどれだけ訴えていくことができるか、今後の対策が急がれる。

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