ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

生まれつきの不安から守り育てる

2014年06月25日 | こころの子育て
昨日夜は、朝日カルチャーセンターの人格適応論を使った
コミュニケーション講座でした。

個性豊かなタイプの方々が集まってくださり、とても楽しいです。
今日は、これから対馬に移動します。

さて、
「抱き癖になるから、あんまり抱っこしない方が良い」
なんて、信じないでください。

赤ちゃんが泣いたら、とにかく抱っこしましょう。

「早く自立させたいから、抱っこしない」は、間違いです。

「早く自立させたいから、泣いたら抱っこする。」

子どもが求めた時の抱っこは、おっぱいやオムツ替えたけでなく
不安を減らす作用があります。

特に、日本人の赤ちゃんには、抱っこがとても大切です。

抱っこや愛情が足りなくて、大人になってもなかなか不安や緊張が減らない場合、
不安や緊張を減らすカウンセリングをします。

それは、生まれ育った環境での守られなかった体験や
いじめなどの体験の問題を扱います。

今日は、育った環境以前の話、
遺伝的に日本人は、
世界で一番不安が大きいというデータがあります。

「セロトニントランスポーター遺伝子」って聞いたことありますか?

「不安遺伝子」
「恐怖遺伝子」
とも呼ばれ、マスコミでも紹介されていて、
聞かれた方もいらっしゃるかもしれません。

セロトニンという神経伝達物質は人の気分に大きく関係しており、
これが不足すると不安を感じるようになったり、
うつ病の症状が出たりします。

このセロトニンの量を調節しているのが、
セロトニントランスポーターというタンパクで、
神経細胞から出たセロトニンを再び細胞内に取り込む役割を担っています。

そしてセロトニントランスポーターというタンパクの機能を決めているいるのが、
セロトニントランスポーター遺伝子というわけです。

英エコノミスト誌は
去年、
「幸福の遺伝学 喜びを運ぶもの」
と題する記事を掲載しました。

この記事で、
セロトニントランスポーター遺伝子について取り上げられています。

セロトニントランスポーター遺伝子は
長さによって、短いS型と長いL型の2種類に分かれています。

S型は、多ければ多いほど
「内向的で従順な性格」になり

L型は、
「自主独立の性向が強く、社交的で活動的な性格」
になるそうです。

遺伝子は父親と母親から1つずつもらってできていますから、
人は
①S型を2本持つSS型、

②L型を2本持つLL型、

③S型とL型を1本ずつ持つSL型

に分類されます。

そして、S型はL型よりも遺伝子の発現量が少ない、

つまり、セロトニントランスポーターを生み出さないため、

その結果として、

SS型の人はSL型、LL型よりも不安を感じやすい傾向にあることが分かっています。

S型がセロトニン分泌に関与するという研究結果が発表されました。

SS型 > SL型 > LL型の順番でより不安を感じやすく、

この遺伝子型を持つ人の割合は、
国や民族によって異なります。

日本人は、S型保有傾向が欧米人に比べ5割も多い代わり、
LL型保有者は3%と世界で最も少ないそうです。

さらに、SS型、SL型、LL型の比率は人種によって異なっていて

エコノミストの記事では、ある調査の結果として、

L型の平均本数が黒人で1.47本、
白人で1.12本であるのに対し、
アジア系の人の平均は0.69本であると記されています。

つまり、黒人や白人の場合は多くの人がL型遺伝子を持つのに対し、

アジア人はL型を持つ人が少なく、SS型が多いことになります。

中でも日本人は、S型を持つ人の割合が高いと言われています。

つまり、遺伝子の観点から
日本人は、世界一悲観的というか
不安が大きい生まれだということになります。

確かに「明日はどうにかなるさ」と将来を楽観的にとらえるより、
この先に起こり得るリスクを考え、
対処する方が「日本人らしい」かもしれないし、
裏を返せば、「備えあれば憂なし」という良さでもあるかもしれません。

不安の多い世界一悲観的になりやすい日本ならではの甘えの文化ができ
添い寝の文化が出来てきたのだと思います。

だからこそ、戦後、流行ったアメリカから入ってきた
スポック博士の育児書に書いてあった
・抱っこは必要最小限で、むらみやたらにしないとか
・添い寝は、よくないとか
これを未だに守っているとしたら、
大きな間違い。

スポック博士の育児書についてものちの発達心理学の研究から、
自主独立の傾向が強いアメリカでも
否定的になり、
抱っこの重要性が言われるようになっています。



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